<フィギュアスケート:関東選手権>◇13日◇新横浜スケートセンター

 4月に女児を出産したフィギュアスケート元世界女王の安藤美姫(25=新横浜プリンスク)が、約2年ぶりの国内復帰戦を滑った。出場5人の女子SPは56・25点で1位。トップには立ったが、日本の審判団が採点する大会では過去最低点。調整での苦労も強いられ、先月のドイツでの復帰戦から得点を下げた。ソチ五輪出場には、全日本選手権(12月、埼玉)優勝が条件と本人は自覚する。1次選考会となる今大会で、難しさに直面した。

 会場を埋めた約800人の観客の目は、異例の挑戦に踏みだした安藤1人に注がれていた。関東選手権は、例年なら主に選手の関係者だけしか来場しない。入場も無料だったが、今年は1000円のチケットが販売された。それが即、完売。当日券もない。

 試合前の6分間練習で、安藤がダブルアクセル(2回転半ジャンプ)を決めただけで歓声が起きる。安藤にとっても未体験の雰囲気の中での挑戦は、前日から。会場での公式練習がなく、不運なことに安藤は新横浜スケートセンターが現在の練習拠点。茨城県まで練習場所を求め、往復で約6時間以上かかった。

 選手紹介され、リンクに立つ。曲はフランク・シナトラの「マイ・ウェイ」。冒頭の3回転ルッツ+2回転ループを決めたが、続く3回転ループは回転不足と判定された。最後の背中を反らすスピンも、判定は4段階で最低の「1」。独特の雰囲気に、不慣れな調整。演技後のスタンディングオベーションにも、表情はどこか硬かった。

 2週間前にネーベルホルン杯で3季ぶりに復帰した。SPは59・79点。「これからどんどん良くなる」。手応えを口にしたが、今大会では得点を下げた。日本の審判団による採点は10年の全日本選手権以来。同大会で、SPで60点を下回ったことはない。

 他選手の迷惑になるとして、この日の取材対応はしなかった。今日のフリーでどんな演技をするか。逆境をはね返す強さがいま、元女王に求められている。【阿部健吾】

 ◆安藤がソチ五輪に出場するには

 日本女子シングル枠は「3」。日本連盟は選考方法として、全日本選手権出場を最低条件とする。優勝で決定。2、3位は、GPファイナルの日本人最上位者と合わせて選考。決まらなければ、同大会終了時点での世界ランク日本人上位3人、ISU(国際スケート連盟)シーズン最高点の日本人上位3選手から選考。安藤はまず、全日本選手権出場に予選(関東選手権、東日本選手権)を通過する必要がある。ただし、現時点ではGPファイナルは参加できず、世界ランク、ISUシーズン最高点で対象になることも難しく、本人は優勝を目指している。