<高校ラグビー:東福岡57-5御所実>◇決勝◇7日◇花園

 東福岡が最強伝説を作り上げた。御所実(奈良)を下し、3大会ぶり5度目の優勝を飾った。鍛え抜かれた接点の強さを武器に攻守で圧倒し、57得点と52点差は決勝での新記録。高校日本代表候補12人を擁し、昨年の選抜大会と7人制大会に続く今季3冠を達成した。3連覇を達成した3年前以上のインパクトを残した。

 愛称フェニックス(不死鳥)の東福岡が花園で最強伝説を築いた。優勝の瞬間、選手全員で歓喜の輪を作った。主将のフランカー古川聖人(3年)は「最高の舞台で王者になれてうれしい。やってきたことは間違いじゃなかった」。決勝の最多57得点、最多52点差で圧勝し、1大会通算最多得点となる298点を記録。昨年の選抜、7人制大会に次ぐ今季3冠も達成した。

 就任3年目で初めて優勝を味わった藤田雄一郎監督(42)は「特別ですね。高校生の聖地ですから」と、3度宙に舞った。序盤こそ御所実の抵抗にあったが、3トライのWTB高野蓮が「ファーストコンタクトで勝てると思った」という、接点での強さを武器に攻守で圧倒した。

 平均体重約92キロを誇るFWの縦の崩しからBKの速いワイド展開で猛攻を仕掛けた。高校日本代表候補12人のタレント軍団の独壇場だった。前半7分、右膝前十字靱帯(じんたい)断裂から半年のリハビリを経て今大会に間にあったCTB萩原が、ゴール右の先制トライとゴールを決めた。不利な風下に立った前半をものともせず「考えすぎたら外してしまう。風の方向を読みながら」と冷静な判断で、この日は9本中6本を成功させた。

 主力の3年生は11年度に3連覇を果たした名門にあこがれ、藤田監督の就任と同時に入学した世代だ。だが12年度は準々決勝で茗渓学園(茨城)に敗れ4連覇を逃した。前回も4強止まり。藤田監督は今季の3冠達成をあえて公約した。痛感してきたコンタクトの弱さを鍛え直した。

 特に昨年から週3回、午前7時半からのウエートトレーニングを導入。ベンチプレスはメンバー平均100キロを挙げる。50メートル走5秒9の俊足を誇る代表候補CTB永富は、120キロをマークするなどBKの進化も強さを支えた。よりスピードとパワーが要求される7人制大会を制し自信になっていた。毎週行う「部内戦」と呼ぶ紅白戦でもしのぎを削った。

 最近8大会で5度の花園優勝。今季3冠をつかんだ「最強のヒガシ」が、高校ラグビー界に新たな歴史を刻んだ。【菊川光一】

 ◆東福岡

 1945年(昭20)に前身福岡米語義塾として創立、55年に現校名。普通科のみの私立男子校で生徒約2400人。ラグビー部は55年創部で部員118人。花園優勝5回、準優勝3回。主な卒業生にプロ野球の村田修一(巨人)吉村裕基(ソフトバンク)やサッカー日本代表長友佑都(インテルミラノ)ら。所在地は福岡市博多区東比恵2の24の1。松原功校長。<東福岡の大会記録>

 ◆決勝の最多得点

 57得点は、95年度の大工大高50-10秋田工、01年度の啓光学園50-17東福岡を上回った。

 ◆決勝の最多得点差

 52点差は、同志社中41-0早実(28年度)を更新。

 ◆大会通算得点

 298得点は、同校が記録した292得点(11年度=ともに5試合)を上回った。