【トゥールーズ(フランス)8日=松本航】ラグビーW杯フランス大会に臨む日本代表(世界ランク14位)は、10日のチリ(同22位)との1次リーグ初戦に向けて登録メンバーを発表した。

先発には、過去最高8強入りした19年日本大会の経験者9人が名を連ねる中、代表候補として今夏を過ごした代表2キャップのフランカー下川甲嗣(24=東京サントリーサンゴリアス)が抜てきされた。

4年に1度の大会は8日に開幕し、10月28日の決勝まで9都市で48試合が行われる。

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絶対に落とせない初戦を2日後に控え、15対15の実戦練習には緊張感が漂った。

23年に入り、日本は代表戦1勝5敗。若手も積極的にアピールした中で、ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)は先発にW杯経験者9人を起用した。

22歳の李承信(コベルコ神戸スティーラーズ)も候補だったSOには松田力也(埼玉パナソニックワイルドナイツ)と決め、同HCは「今回は経験を選んだ」と左右を30代のSH流大、CTB中村亮土(ともに東京サントリーサンゴリアス)で固めた。

その中で、ひときわ24歳下川の抜てきが目立った。

「7番というポジションは競争が激しい。必要な理由はFWの厳しい戦い。彼の仕事量を望んで選んだ」

わずか1カ月ほど前まで、フランス行きは描けていなかった。下川は昨秋に初キャップを獲得。だが、今夏は代表候補の立場だった。

W杯登録33人のうち、1割以下の社員選手。所属するサントリーではスーパーマーケットなどを相手に酒類の営業を担当し、6月の千葉・浦安合宿前には上司に業務内容を引き継ぎした。

「こっちは最後(W杯)までいないつもりでいるよ」

そう背中を押され、8月3日フィジー戦のみの出場で猛アピール。同15日のW杯メンバー発表にも名はなかったが、バックアップメンバーとして渡欧した。

「バックアップや(代表)候補という立場でも、W杯に出たい思いでした。少しでもチャンスがあるなら、チャレンジする。そこがモチベーションでした」

福岡の進学校、修猷館時代は花園上位の常連である東福岡の壁に何度もはね返された。全体的に体が小さく「すぐにリロード(次への体勢づくり)することしか戦えなかった。今でも仕事量で勝負することは変わらない」。今夏も代表候補として、対戦相手のラインアウトをコピーする役割を率先して担った。

同じFW第3列は主将経験者のピーター・ラブスカフニ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)が、フィジー戦でのレッドカードでチリ戦は出場停止。ジャック・コーネルセン(埼玉パナソニックワイルドナイツ)が負傷者が続いたロックをカバーする状況で、地道な努力は本番で報われた。

「率直な気持ちは試合が楽しみ。責任を果たしたい。大事な初戦。勝つことが大事。(攻守の)ラインスピード、タックル。クオリティー高く保ち続けたい」

前回8強超え、大目標の優勝へ、勝たなければいけない初戦。これまでの集大成をぶつける。

◆日本代表のチリ戦メンバー

<1>稲垣啓太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)

<2>坂手淳史(埼玉パナソニックワイルドナイツ)

<3>具智元(コベルコ神戸スティーラーズ)

<4>ジャック・コーネルセン(埼玉パナソニックワイルドナイツ)

<5>アマト・ファカタバ(リコーブラックラムズ東京)

<6>リーチ・マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)

<7>下川甲嗣(東京サントリーサンゴリアス)

<8>姫野和樹(主将、トヨタヴェルブリッツ)

<9>流大(東京サントリーサンゴリアス)

<10>松田力也(埼玉パナソニックワイルドナイツ)

<11>ジョネ・ナイカブラ(東芝ブレイブルーパス東京)

<12>中村亮土(東京サントリーサンゴリアス)

<13>ディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)

<14>松島幸太朗(東京サントリーサンゴリアス)

<15>セミシ・マシレワ(花園近鉄ライナーズ)

<16>堀江翔太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)

<17>クレイグ・ミラー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)

<18>バル・アサエリ愛(埼玉パナソニックワイルドナイツ)

<19>ワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京)

<20>福井翔大(埼玉パナソニックワイルドナイツ)

<21>斎藤直人(東京サントリーサンゴリアス)

<22>長田智希(埼玉パナソニックワイルドナイツ)

<23>レメキ・ロマノラバ(NECグリーンロケッツ東葛)