<卓球:世界選手権>◇1日◇男子シングルス3回戦◇横浜アリーナ

 男子のエース水谷隼(19=明大)はシングルスで元世界王者のペーション(スウェーデン)を破り、吉田海偉(フリー)松平健太(青森山田高)とともに日本男子では97年大会の渋谷浩以来の16強に進出した。

 日本のエースが右手を突き上げた。水谷が卓球界の鉄人をストレートで下し、3回戦の壁を破った。過去2度の世界選手権、北京五輪はともに3回戦敗退。「ここまで(4回戦)は来ないといけないと思っていた」とノルマをクリアした。

 相手のペーションは01年世界王者で北京五輪4強の強豪。86年に19歳で欧州王者になって以来、43歳になった現在も世界ランク19位にいる。水谷は同22位。それでも「やる前から自信があった」。第1ゲームを逆転で奪い勢いに乗った。完敗を喫した元世界王者は試合後「これが最後の世界選手権」と引退を示唆した。

 04年にドイツプロリーグに卓球留学。欧州の豪快なプレーを体で学んだ。昨年10月からは世界最強の中国スーパーリーグに身を置き、卓球王国で技術と戦術を磨いた。天才的なタッチと豪快なフォアは世界でも有数といわれる。その才能が地元開催の世界選手権で花開いた。

 大会前にシングルスで決意したことがある。「絶対に中国選手を1人は倒す」。日本男子として24年ぶりのシングルス8強入りがかかる4回戦は、その中国の陳■が相手。苦手な左利きだが「徹底的に合宿で左対策をやってきた」とエースは胸を張った。【吉松忠弘】※■は王ヘンに己