全道10地区のトップを切って、札幌地区予選が開幕。札幌光星が札幌英藍を12-5の8回コールドで下し初戦を突破した。今春、初のベンチ入りを果たした横手投げ右腕、小北諒(2年)が4回途中から2番手で登板し、最終8回まで4回2/3を被安打2、無失点に抑えた。打っても3打数2安打と貢献した。

 高校初の公式戦マウンドは、厳しい場面で巡ってきた。1点リードの4回1死満塁。先発松本虎(3年)の後を、小北が継いだ。先頭打者に内野安打を許し2点を失ったが、次打者を遊ゴロ併殺に打ち取った。小北は「ピンチなので最少失点に抑えるつもりでマウンドに上がった」と落ち着いていた。投じた球種は直球とスライダーだけ。アウト14個のうち7個が内野ゴロ。打たせて取る持ち味を発揮した。8回まで被安打2、無四球で締めた。

 横手投げは、高校入学後、悔しさをバネに習得した。1年前、入学直後の紅白戦。当時は上手投げで、4回を投げ10失点と打ち込まれた。「このままではダメだ」。札幌光星野球部OBでもある父優さん(51)のアドバイスもあり、横手投げに挑戦した。手本は巨人で180勝を挙げた斎藤雅樹氏(現2軍監督)とリリーフで活躍した鹿取義隆氏。生では見たことがない、父親世代の名選手を参考にした。

 「体の前でリリースできるようにフォームを固めた。そのために気が済むまで投げた」と、強い意志でフォーム改造に取り組んだ。1年の冬場には、合坂真吾監督(40)が「壊れるんじゃないか」と、驚くほど投げ込んだ。初の公式戦での好投に、同監督は「小北が投げて試合ががらっと変わった。うちのリズムが出てきた」とほめた。

 5-5で迎えた6回には、先頭打者として右中間への二塁打を放ち、5点を奪うビッグイニングの口火を切った。「練習試合を含めても初の安打」と、本人もびっくりの活躍だ。2回戦に向け、小北は「登板があれば自分の仕事をするだけです」と、控えめに意欲を見せた。【浅水友輝】