国内プロかメジャーかで進路が注目されている160キロ右腕、花巻東(岩手)・大谷翔平(3年)に対し、大リーグのレンジャーズが、2つの“プレゼント”で猛プッシュした。2日、ジョシュ・ボイド・プロスカウト部長、ジム・コルボーン環太平洋シニアアドバイザー、渡部一スカウトが岩手・花巻市の同校で大谷本人と両親、佐々木洋監督(37)を交えて約3時間半にわたって面談。ボイド・プロスカウト部長は「私たちのシステムで2年経験しているから」と、マイナーの1Aでプレーする尾中博俊外野手(24)を同行させて、マイナーリーグの現状などを説明した。

 レ軍は09年の菊池雄星(現西武)との面談では「マイナーを経験している左投手」(ボイド氏)という理由で、当時メジャー昇格1年目だったデレク・ホランドを来日させた。今回も大谷の疑問に答えられる“先輩”を用意した。尾中は、中国6大学野球リーグの環太平洋大を卒業後に渡米した。「しんどかったのは英語。2年目で英語は慣れたけど、文化や生活のリズムが違う」と、グラウンド外で苦労しただけに「英語のことが不安になってると思う。厳しい環境だよと伝えました」と話した。

 尾中によると、体験談を聞いた大谷は「引いてました」。ただ、先月18日のプロ表明時に「誰も助けてくれないと思う」と異なる文化への対応を不安要素に挙げるだけに、これ以上ない判断材料となったはずだ。

 かつてオリックスで投手コーチも務めたコルボーン氏は「将来性ある投手。来年のインターリーグ(交流戦)で秘密兵器になると思う。DH、ナイノデ」と日本語を交えて高く評価。大谷が憧れるダルビッシュのサインボールもプレゼントし「決断の日を待ちます」と話して同校を後にした。【今井恵太】