執念采配は実らなかった。1点差を追いついた9回裏、代打で出場していた今成亮太内野手(28)が3年ぶりに1軍公式戦でマスクをかぶった。途中出場した岡崎にベンチは代打福留を送る攻め采配。控え捕手がおらず、経験のある今成がスクランブル発進した。延長10回、サヨナラ本塁打をマスク越しに見届けた。
三塁側ベンチの金本監督は心おきなく采配した。1点を追う土壇場の9回表。2死一塁で代打今成が右前打でつないで一、三塁の同点機を築くと、指揮官に迷いはなかった。最後の捕手岡崎に代打福留を起用。なりふり構わないタクトで同点に追いついた。指揮官は戦況を先読みしていた。岡崎を代えたことで、ベンチに捕手は誰もいないが思い切った策に打って出た。
9回裏の守備に入る前、ナゴヤドームに「キャッチャー今成」のコールが響き渡ると虎党がどよめく。内野手が防具をつけてマスクをかぶる。マウンドで高宮とサインを打ち合わせる。指揮官は「今成も『十分いける』と言うし、思い切って攻めないと」と説明。その言葉通りに急造捕手がスクランブル発進で奮闘した。同点にこぎつける攻撃に貢献した今成は塁上で代打福留が告げられているのを見て、自らの役割を察していた。
「捕手がいない状態だったので、自分が行くと思った。昨日もキャッチャーがあと1人だったので、ブルペンに入っていました。捕る分には問題ありません」
05年の日本ハム入団時は捕手で、12年4月に阪神へ移籍した際もマスクをかぶり、36試合に守備出場していた。守備力を買われて、15年に捕手から内野手に登録変更されていた。捕手で起用されるのは13年7月13日DeNA戦以来、3年ぶりだったが、金本監督は就任直後の昨年10月から捕手起用プランを温めていた。昨秋キャンプから練習を再開し、今春キャンプではブルペンで投手の球も捕った。開幕前の実戦出場はなく、ぶっつけ本番だったが、頭はフル回転だ。
9回は無失点も延長10回無死一塁で難敵ビシエドを迎えた。ベンチを見つつリード。初球で内角を突くなど配球に苦心し、ファウルがのど元を直撃してマスクははじき飛ばされた。だが、最後は外角直球を打たれ、右翼ポール直撃のサヨナラ弾を浴びた。奮戦は報われず、今成は「こういうサヨナラ負けで責任を感じている。次はしっかりしたい」と唇をかんだ。悔しい黒星がついたが、内外野守れるユーティリティーぶりに、また新たなオプションが加わった。【酒井俊作】
▼今成は浦和学院から05年高校生ドラフト4巡目で日本ハムに捕手として入団。阪神に移籍した12年までは捕手一本。13年には3試合マスクをかぶり、一塁で4試合、外野で54試合守った。14年は三塁や外野が大半で、昨季は内野手登録となって守備は二塁2、三塁85、外野1試合だった。



