プレーバック日刊スポーツ! 過去の6月24日付紙面を振り返ります。2008年の1面(東京版)は早大・斎藤佑樹が世界大学野球選手権の代表に決まり、同選手権にメッツが駐在スカウトを派遣するなどメジャーが熱視線を送りました。

◇ ◇ ◇

 早大・斎藤佑樹投手(2年=早実)が「日本のエース」として初の金メダルを目指す。第4回世界大学野球選手権(7月17~27日、チェコ・ブルノ)の選考合宿が23日、平塚球場で最終日を迎え、斎藤ら22人の大学日本代表が決まった。斎藤は背番号1を背負う。同選手権に、大リーグ、ニューヨーク・メッツがドイツ駐在スカウトを派遣することを決定。その他のメジャー球団スカウトも熱視線を送る。強豪キューバは欠場することが決まり、北京五輪の「星野ジャパン」より一足早く、世界一を獲りにいく。

 選考合宿最終日を、斎藤はノースローのVIP待遇で終えた。当落線上の10投手が雨の中1イニングずつ紅白戦で登板し、日本代表・河原井正雄監督(53=青学大)ら首脳陣が最終決断を下した。選ばれた8投手中、この日登板しなかったのは斎藤1人だけ。「日本のエース」の座は揺るぎない。

 斎藤は早大広報を通して「(日本代表は)2回目でもとても新鮮でうれしい。去年の経験を生かして頑張りたい!」と決意を語った。

 昨年の日米大学野球選手権ではソフトバンク大場、ヤクルト加藤とともに先発3本柱として、史上初めて米国での優勝に貢献した。河原井監督は「昨年からの実績があるし、彼の投球術はどこの国相手でも通じる。軸になるのは当然。でも斎藤1人で連戦を乗り切るのは難しいし、みんなの力で乗り切りたい」と全幅の信頼を寄せる。

 メジャーも興味を示している。メッツの球団関係者は「ドイツに住むヨーロッパ担当スカウトを派遣することになる」と話した。メッツはインターナショナルスカウトとして中南米はもちろん、オーストラリア、韓国にもスカウトを置く。ヨーロッパはドイツに駐在している。米国のドラフトは6月初旬に終了しており、新戦力の発掘が主な目的になる。米国代表も出場するが、将来性を含めて斎藤ら日本の下級生が目に留まる可能性はある。

 メッツ大慈弥功・環太平洋担当本部長は今春、東京6大学の早大対明大、早慶戦を視察した。斎藤については「私のスピードガンで92マイル(約148キロ)を計測しました。彼のツーシームはチェンジアップに近い。もっと真っすぐで押して、速いツーシームファーストボールも投げられるようになったら魅力が上がる」と期待する。昨夏と違いチェコ開催のため、全球団とはいかないが、他のメジャー球団も視察に訪れそうだ。

 初の金メダルへ、日本には追い風が吹く。米国と並ぶ強豪だったキューバが欠場することが決まった。過去3大会は銅→銀→4位。台湾、韓国などがライバル視されるが、河原井監督は「彼の変化球は強振してくるバッターに有効」と期待する。直前のハーレムベースボールウイークは早大の試験と重なり欠場。現地で1試合オープン戦に登板してから本戦に向かう予定だ。今春はリーグ戦で4季連続優勝を逃し、3勝止まりと不本意なシーズンだった。フラストレーションがたまった分、世界にかける思いは強い。

 ※記録や表記は当時のもの