セ・リーグ11年ぶりとなる投手3冠を、広島の前田健が成し遂げた。奪三振で2位だった村中が数字を伸ばせず、最多勝、防御率に加えて3つ目のタイトルを獲得。「カープで初めてだとか、リーグ最年少というのが一番うれしい」。22歳の右腕が名実ともにリーグを代表する投手になった。

 4年目の今季、掲げた目標の1つはエースになることだった。打線の援護がなくても言い訳はしない。猛暑だった夏場に疲労などで苦しんだが、投球回数215回3分の2はリーグトップの数字となった。開幕前には「候補の1人」としていた野村監督も、シーズン途中から前田健を「エース」と呼ぶようになった。

 自身の立場の変化について、前田健は「求められるものも高くなってくる。去年までは試合をつくれば評価してくれたけれど、ことしは勝たないといけなかった」と明かした。重圧に耐え、周囲の期待に応え続けた。球場からの帰り際、「しばらくはゆっくり休みたい」と話した表情に、充実感がのぞいた。

 [2010年10月10日23時46分]ソーシャルブックマーク