<横浜6-5楽天>◇25日◇横浜

 頭の中が真っ白になった。横浜内川聖一外野手(26)は一塁ベースを駆け抜けると、両手を突き上げジャンプしていた。プロで初めてのサヨナラ打。「自分で、どうしていいか分からなかった。理解するのに、何秒かかかりました」と笑わせた。

 ベテラン工藤の快投にベンチ裏で「何かありそうだね」と予感していた。そして1点差の9回、1死満塁のチャンスで打席が回ってきた。「積極的にいくつもりだった。最悪の当たりだったけど、最高の結果になってくれたね」。初球をたたいた打球は詰まったゴロだったが、大きくバウンドして一、二塁間を抜けた。

 打席に向かう前、田代監督代行から声をかけられた。「外国人投手はWBCで打ってるだろ」。しかし内川は「アメリカ人は…。米国戦は出てないんです」。そのやりとりで気持ちが楽になった。「すごく気を使ってくれて軽い気持ちになれた」と感謝した。

 本拠地で初勝利を挙げた「オバQ」田代監督代行は「本当にうれしい」と喜んだ。だが、1勝ではまだまだ足りない。内川は「選手が変わろうとしないと、下にいるチームは浮上のきっかけをつかめない。どれだけ意識できるかだと思う」と、この勝利をチームの勢いにつなげるつもりだ。

 [2009年5月26日8時59分

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