阪神ドラフト5位の藤川俊介外野手(22=近大)が、14日の日本ハムとの練習試合(名護)で1、2番のスタメンに抜てきされることが9日、明らかになった。この日から始まったシート打撃で、持ち前のシュアな打撃と自慢の快足を存分に披露。引退した赤星憲広氏(野球評論家)と遜色(そんしょく)ない、塁間3・3秒のスピードで2盗塁、打っても中堅オーバーの二塁打。正真正銘「ポスト赤星」として、マートンらとの外野定位置争いに割って入る勢いだ。

 正真正銘「ポスト赤星」テストの権利を勝ち取った。ルーキー藤川俊が、14日の日本ハム戦で1、2番いずれかのスタメンを早々と内定させた。代走や守備要員の立場ではなく、外野の開幕スタメン候補、桜井、マートンと同じ土俵に上がる。それほど、首脳陣には衝撃かつ魅惑的な猛アピールだった。

 初のシート打撃。まずはバットで実戦向きを証明した。1打席目。カウント1-0から、金村暁の高め直球を完ぺきにとらえた。打球は中堅柴田の頭上を越えた。「うまくバットを振り抜けた。打撃に関しては、ここまで練習してきたことが出せたと思います」。藤川俊が胸を張る堂々のスタンディング二塁打だ。

 和田打撃コーチが絶賛した。「練習ではバットが遠回りしてたけど、実戦になったら直っていた。実戦派の片りんを見せてくれた」。13日の日本ハム戦の途中出場どころか、14日の先発起用も明言。「13日は顔見せ的なことがあるから途中出場になると思うけど、14日はスタメンでいくと思う。(打順は)1、2番?

 そうなるね」と即決するほどだった。

 走者役になっては自慢の足を見せつけた。打者大和の初球。投手の金村暁が投球動作に入ると、迷うことなくスタート。悠々と二塁を陥れた。「このキャンプは積極的な走塁をテーマにしているので。結果に満足はしてませんが、いいアピールになったとは思います」。続くメッセンジャーが投手を務めたときにも初球二盗を成功させた。

 ストップウォッチ片手に見守っていた山脇守備走塁コーチも驚きの表情。「3・3秒だった。赤星が3・2秒だったことを考えれば速い方。下が(雨の影響で)緩い中でそれだからね」。ぬかるんだグラウンド状態でベストコンディションの狩野と並ぶタイム。楽々チームトップの数字をたたき出した足を高評価した。

 「今はしんどいとか言ってられない。とにかく自分のできることを必死にやっていきたい」。キャンプに入って肉体的、精神的な疲労は隠せないが「体重を落としたくないので、無理にでもおなかに食べ物を入れている」と自己管理も徹底。バレンタインの対外試合、大穴ルーキーが首脳陣のハートを本気で射止めに行く。

 [2010年2月10日11時46分

 紙面から]ソーシャルブックマーク