<阪神1-10中日>◇8日◇スカイマーク

 中日先発山井大介投手(32)が今季初対戦の阪神打線から11三振を奪い、自己最多7勝目を挙げた。大量リードにも気を緩めず、8回1失点の好投。負ければ自力優勝が消滅する土壇場で、チームを救った。

 試合後、大勝の展開とは裏腹に山井の表情は疲弊していた。「5点もらって楽な展開にはなったんですけど…。3割打者が多くいるだけに毎回ヒットを打たれた。ビッグイニングをつくられないように丁寧に、丁寧にと思っていました」。初回、味方打線が5点を先制してくれた。それでも相手はリーグ最高打率を誇るダイナマイト打線。いつも以上に神経を研ぎ澄ませる必要があった。

 2回、ブラゼルに142キロの直球を左翼席に運ばれた。まだ4点差だったが、ひしひしと感じる重量打線の重圧…。続く、3回には2死一、三塁で再びブラゼルを迎えた。1発が出ればあっという間に1点差の場面。カウント2-2から谷繁の要求は前の打席で本塁打を打たれた直球だった。143キロの力のある球を懐に投げ込んで、空振り三振。最大のヤマ場を乗り越えた。阪神戦はプロ9年目で初勝利。大阪出身の豪腕が虎の前に立ちはだかった。

 「やっぱり山井だよ。(初回の大量援護は)思っているより難しいんだ。あれが1回の裏だったら違うけどな」。落合監督は2ケタ得点の打線より、勝って当然という重圧に耐えた山井を称賛した。思えば6月2日オリックス戦。同じスカイマークで7点リードの8回に7点を失い、逆転負けした。チームに残る悪夢を山井の右腕が消し去り、首位浮上への望みをつないだ。【鈴木忠平】

 [2010年9月9日11時11分

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