中日西川順之助球団社長(78)は28日、来年オフにも“新年俸制度”の導入を検討することを明かした。名古屋市内の球団事務所で行われた仕事納めで、同社長は優勝したにもかかわらず、観客動員が前年比マイナス4・6%、約10万人減少のシーズンを、こう振り返った。

 「シーズン席の売れ行きが悪かったが、それは景気の問題が大きい。1つの企業がこれまで20席買ってくれていたのが10席になった。ただ、クライマックスシリーズに出場したことでその分を穴埋めすることができた」。現在の経済情勢が最大の要因と分析。その上で、厳しい社会情勢の中で球団経営を行っていくには選手の年俸を見直す必要があるとした。

 「球団経営を一番圧迫しているのは選手の年俸。1度、ある程度まで上がった人はなかなか下がらない仕組みだから、ある一定のところから上がる人は出来高というのも考えないと」

 現在の野球協約では減額制限(年俸1億円を超える場合は40%、1億円以下の場合は25%)が設けられており、1度上がった年俸は本人の同意なしには大幅に下がらない仕組みになっている。それだけに年俸がある一定の額を超える選手は、出来高を中心に昇給させる考えを明かした。

 中日は年俸2億円を超える選手を4人抱えている。人件費が経営を圧迫するようであれば、年俸制度の見直しを視野に入れるというわけだ。ただ、今オフ、新査定制度を導入したソフトバンクは選手側の反発を招いた。ベースである年俸を抑えることに選手側も神経質になると予想される。景気が上向き、シーズン券が売れれば別だが、2年連続で観客動員が減少する中、厳しい経営判断を迫られる可能性はある。

 [2010年12月29日11時17分

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