<オープン戦:巨人3-2西武>◇2日◇東京ドーム
開幕ローテーション入りがはっきりと見えた。巨人のドラフト1位沢村拓一投手(22=中大)が、今季東京ドーム“開幕戦”となる西武とのオープン戦に先発した。4回を1安打無失点で4奪三振。直球、スライダー、フォークに加え、これまで制球が定まらなかったカーブの精度が上がり、緩急を使った投球で中島、中村ら強打者のいる西武打線を翻弄(ほんろう)した。西武先発のドラフト1位大石達也(22=早大)を球威、制球ともに上回った。
やっと、やっと沢村のカーブが決まった。グイッとブレーキがかかる。完璧な軌道だった。最速157キロを誇る直球、松坂以上のキレと言われるスライダー、140キロ近くの高速フォーク。そのどれよりも、光っていた。唯一、課題とされた変化球がカーブだった。テーマの1つとしていた緩急を使い、「キャンプから課題としてやってきたので、多少なりとも成果が出てよかった」と、手応えをつかんだ様子だった。
実戦でも全く使えなかった球種だった。対外試合初登板となった2月24日の韓国ハンファ戦。試合前に川口投手総合コーチは「カーブ」を課題として挙げ、「先発なら緩急を使わないといけない。カーブを織り交ぜながらピッチングに変化をつけないと」と、順調に進歩する新人の欠点を指摘していた。その試合、カーブを3球投げて2球はボール。すっぽ抜けたり、引っかけたり、沢村も「今のところ一番精度が悪い」と嘆いていた。
それが別人になった。この日投じたカーブの球数は5球。そのうち3球がストライクだった。2回、6番大島は114キロのカーブで三邪飛。完全にタイミングを外した。ドラフト1位対決という注目の中、東京ドーム初マウンドという大舞台で課題を修正してしまうあたりに大物らしさが漂う。「緊張はしなかったです。楽しかったです」と、強心臓ぶりを発揮。グラウンド入り前、笑顔でシャドーピッチングしながらリラックスするなど、即戦力右腕に気負いはなかった。
昨年10月28日のドラフトでは1位指名を受けて大粒の涙を流した。憧れ続けた東京ドームのマウンドで、したたる汗を拭いながら躍動した。原監督は「最高だと思いますね。素晴らしい。気負うことなく、入れ込むことなく練習通り投げられていた」と褒めた。直球に本来の威力は感じられなかったが、「これからどんどん投げ込めばスピードもキレも上がってくると思います」と、自信を見せた。それに加え、すべての変化球で制球力がついてきた。開幕へ向け、完成形に近づきつつある。【斎藤庸裕】



