<楽天8-7西武>◇10日◇Kスタ宮城

 西武がドタバタの末に力尽きた。8回、本塁のクロスプレーをめぐって球審に詰め寄った星孝典捕手(30)が退場処分を受け、外野手登録の星秀和(25)が急きょマスクをかぶった。追加点は与えなかったが、序盤の6点差を1度は逆転した試合を1点差で落とした。

 西武は低迷を象徴するようなドタバタ劇だった。同点の8回1死二、三塁、楽天聖沢の右飛を秋山がキャッチして本塁へワンバウンド送球。送球を受けた捕手の星孝が本塁上で三塁走者の鉄平と激突し、倒れ込みながら懸命にタッチにいったが、判定はセーフだった。星孝は森球審にタッチをアピールしたが、体に触れたことが暴力行為とみなされ、退場処分を受けた。

 勝ち越し点を奪われるとともに、緊急事態に陥った。控え捕手の上本は指名打者で出場し、7回で途中交代。先発マスクの炭谷も7回に代打を送られ、ベンチに退いた。昨季まで捕手だった米野も7回に代打で出場し、星孝と交代。ベンチにいた捕手経験者は外野手に転向した星秀だけだった。1年目に2軍で24試合の出場経験があったが、2年目から野手に転向。1軍では未経験だった。

 「緊張しました。まさか、こんな形で(捕手)デビューするとは…。何とか捕ろうと」。ブルペンで1球も受けず、炭谷からプロテクター、上本からミットを借り、マウンド上で涌井とサインを決めた。「(涌井とは同期で)1年目に捕ってたんで」と、4球で高須を一飛に仕留めた。急造捕手が追加点を防ぎ、チームを活気づけるには十分な活躍を見せたが、1点を追う9回の攻撃は中軸が3者凡退で終わった。

 一時は6点差を逆転したが、逆転負けで借金は今季最多の9。負の記録とともに、後味の悪さだけが残った。【久保賢吾】

 ◆星秀和(ほし・ひでかず)1986年(昭61)11月10日、群馬・前橋市生まれ。前橋工では1年夏三塁手、同秋は遊撃手で、2年夏から捕手。甲子園出場なし。04年ドラフト5巡目指名され捕手で西武入り。涌井は同期入団。08年7月11日のオリックス戦に「7番DH」で1軍デビュー。主に外野と一塁で昨年まで46試合出場。今季出場6試合は外野。捕手では05年に2軍で24試合出場した。180センチ、92キロ。右投げ左打ち。今季年俸は600万円(推定)。