巨人は20日、都内の球団事務所で緊急会見を開き、今日21日発売の週刊文春(6月28日号)における原辰徳監督(53)についての報道は名誉毀損(きそん)であり、損害賠償請求訴訟を起こす意向であることを発表した。同誌は、原監督が現役時代の女性問題で恐喝を受け、「元暴力団員に1億円払っていた」との見出しで報じた。巨人は事実に反する3点を列挙。女性との交際と1億円支払いは認めたうえで、原監督と反社会的勢力との接点はないと強調した。会見では、原監督によるファンへの謝罪文と、「清武さんへ」という前GMの清武英利氏(61)へのメッセージが配布された。

 午前11時から行われた会見には、桃井恒和球団社長と、読売新聞グループ本社取締役の山口寿一球団常勤監査役らが出席した。週刊文春は、原監督が06年、過去の女性問題が表ざたになるのを防ぐため、元暴力団員に1億円を支払ったと報道。暴力団排除を掲げる球界において信じがたい不祥事と指摘した。

 巨人側は会見で、記事の問題点は3点あるとした。

 (1)反社会的勢力に支払った事実はない(2)交際したことも、そのような勢力を利用したこともまったくない(3)不当な利益供与をした印象を与え、読者を誤導する

 巨人の監督として、暴力団との接点は認めることはできない名誉毀損とし、提訴することになった。原告は球団と監督の連名となる。

 巨人及び原監督の説明によれば、06年8月、プロ野球関係者を名乗る男から原監督に連絡があり、過去の女性問題が表ざたにならないように尽力するという申し出と同時に、金銭を要求されたという。接触してきた2人組について原監督は、暴力団などの威力を示す恐喝ではなかったとの認識で、1人は球界関係者との前提もあり、球団側は「反社会的勢力であるとの認識は持ちようがなかった」と主張した。

 09年に別の人物が巨人に接触してきたことで球団も知るところになり、警察に相談。この人物は暴力団組長を自称した。原監督は06年の件について被害届を出す決心をしたが、2人組のうち1人は交通事故で死亡。警察関係者から、真相解明が困難と言われ、提出を見送った。09年に接触してきた人物は、その後、威力業務妨害で逮捕。球団が警視庁から聞いたところによると、3人とも反社会的勢力に属する者ではなかったという。

 一方で原監督は、文春の報道にあるよう、88年にある女性と関係を持ったことや、06年に「悩み抜いての苦渋の選択」で1億円を支払ったことなどは認めた。それでも、桃井社長は原監督はあくまで「脅された被害者」との認識を強調。09年に当時代表だった清武氏、原沢副代表(現GM)と協議し「辞任する必要はない」との結論に至ったことも明かした。

 会見で球団は「ファンの皆様へ」と題した原監督のメッセージを配布。川崎市のジャイアンツ球場で1軍練習に参加していた同監督は「ファンの皆様に心よりおわび申し上げたい。同時に深く反省しております」と話した。一連の問題が明らかになった時には、自分の言葉でけじめをつけたいと考えてきた。明日22日からのリーグ再開に向けて「しっかり準備をして戦っていくことに集中します。私も含めて!」とすっきりした表情で話した。