セ、パ両リーグは20日、今季の最優秀新人(新人王)を発表し、セは広島の野村祐輔投手(23)パはロッテの益田直也投手(23)が選ばれた。ともに平成生まれとして初受賞。プロ野球担当記者らによる投票で、野村はセの有効投票総数261票のうち200票を獲得した。広島からは06年梵以来、6年ぶり。投手では97年沢崎以来、15年ぶりとなった。

 表情を顔に出すのは得意ではない。それでも、野村は今季の1つの目標だった新人王獲得に喜びがにじんだ。

 「うれしいです。(2位田島との大差に)思っていなかったのでビックリした。両親は『おめでとう』と喜んでくれました」

 今季27試合に登板して9勝11敗。防御率1・98と新人では巨人堀内以来となる46年ぶりとなる1点台を記録した。中日田島、巨人高木京らライバルを一蹴した。

 すでに来季を見据えてスタートしている。目標は「今年の成績を上回ること」だ。目の先にはキャッチボールや練習を共にしてきた前田健を意識している。

 「マエケンさんには1年目から面倒を見て、よくしてもらった。今年1年でマエケンさんのすごさが分かった。来年は背中を追っていきたい」。10年に投手3冠に沢村賞。3年連続でタイトルを獲得してきたエースに挑戦状をたたきつけた。

 もちろん課題解消を念頭に置いている。前半戦を7勝3敗で折り返しながら、後半戦は2勝8敗と不本意な成績に終わった。チームがCS進出へ意気込んでいるときに貢献できなかった思いがある。

 「後半戦は体力面でついていけなかった。チームの大切なときに勝てなかった。休んでいる暇はない。来季が勝負だと思う」。落ち着き払った態度とは裏腹に、胸の中には熱い思いがグツグツ沸いている。2年目のジンクスは関係ない。【中牟田康】

 ◆野村祐輔(のむら・ゆうすけ)1989年(平元)6月24日、岡山県生まれ。広陵時代は07年夏の甲子園で佐賀北に敗れ準優勝。明大では1年秋に防御率0・00をマーク。東京6大学リーグ史上7人目の通算30勝&300奪三振を達成し、4年秋の明治神宮大会で優勝した。11年ドラフト1位で広島入団。177センチ、78キロ。右投げ右打ち。

 ◆野村の記録

 防御率は前田健(1・53)に次ぐリーグ2位の1・98。2リーグ制後、新人が規定投球回に到達して防御率1点台は66年堀内(巨人)以来46年ぶり7人目となった。