<中日7-1広島>◇14日◇ナゴヤドーム

 中日高木守道監督(71)が竜党にブチ切れた。8回1失点の先発山内の交代を巡るファンのヤジに、「バカヤローっ!」と応戦。直後のテレビ生会見もぶっきらぼうな返答の連続で、関係者もあわや放送事故かと肝を冷やすほどだった。チームは3連敗を阻止。だが内容はまだ手放しで喜べないイライラが、ファンに向いてしまったようだ。

 勝ってもブチ切れた。ハイタッチを終えた高木監督が突然、怒声を上げた。「うるせえ!

 バカヤローっ!」。にらみ上げた矛先は一塁ベンチ上の男性ファンだった。「おい高木、何考えてんだ!

 なんで山内を完投させないんだ!」。このヤジで瞬間湯沸かし器がプッツンした。「下りて来いっ!」。指招きまでして烈火のごとくケンカ腰。松永監督付広報が「行きましょう!」と慌ててその背中を押し、懸命にご乱心を止めた。だが、そのまま会見室に直行したから大変だ。

 3連敗阻止の第一声はぶっきらぼうに「そうですね!」。「よく中軸が打ちました?」の2問目も「そうですね!」と血走った目は三角。生中継で焦るインタビュアーが何とか喜びのコメントを引き出そうとしたが、泥沼にハマる一方だ。「井端2番?

 コーチが言うからそうしました!」「ルナ?

 よう打ちますよ!」。あわや放送事故。ファンとのケンカは映らなかったため、視聴者はなぜ7-1の勝利で超不機嫌なのかが、分からなかったはずだ。

 本当は監督が一番もどかしい思いをしていた。先発山内が4回までに7点援護をもらったが、4四球を与えるなどピリッとせず。何とか0に抑えたが、8回は自身のエラーや暴投などの独り相撲で完封を逃した。「勝ったことはそれなりに評価する。でも点数に助けられたピッチングや。完封で放らなあかん!」。監督も完投させたかった。だがあまりのフラフラで球数も129球に達し、9回は代えざるを得なかった。そして腹立たしい思いでいた時、痛烈なヤジが飛んできた。“俺の気持ち分かっとんのか!”。竜党への「バカヤロー」には、そんな監督の思いも重なったようだ。

 みんなが凍りついたテレビ取材を早々に切り上げた指揮官は、鬼の形相で監督室に消えた。負けても必ず行ってきた新聞社用の囲み取材も、今年初めての拒否だ。連敗した前日は、お笑い芸人スギちゃんのエールに「そういうふうに頑張ります」とムスッ。そしてこの日、「Join

 us」~ファンと共に~をスローガンに掲げる球団としては、禁句とも言えるファンへの「バカヤロー」が出てしまった。勝っても課題の先発の内容がいまひとつで、最下位は変わらない。心から笑える守道節は、一体いつになるのやら。【松井清員】