日本野球機構(NPB)が統一球を秘密裏に変更していた問題で、労組プロ野球選手会(会長=楽天嶋基宏)が、加藤良三コミッショナー(71)に“解任要求”を突きつけた。今日28日に第三者委員会が発足するのに先駆け、選手会の松原徹事務局長が27日、都内のNPB事務局を訪れて統一球問題に関する要望書を提出した。この文書の中で、コミッショナーを「プロ野球の将来について消極的で責任回避的な人物」とばっさり切り捨て、新しいコミッショナーのもとでNPBの組織構造改革に取り組むべきと指摘した。

 嶋会長と松原事務局長の連名でNPBおよび第三者委員会に宛てた要望書の内容は、ほとんどがコミッショナー批判だった。「加藤良三」という具体名こそ記されていなかったが、事実上の解任要求と言っていい。A4サイズ2枚の紙には、新体制のもとでNPBの組織改革を本気で進めてほしい、という選手たちの思いがつづられていた。

 今回の統一球問題の原因を「プロ野球の将来について消極的で責任回避的な人物がこれまでコミッショナーを務め続けてきたことにある」と指摘。「ビジョンと責任感を持った、強いリーダーシップを発揮できる人物」が理想とした。今後は新しいコミッショナーのもとでNPBの改革を「具体的に実行に移すこと」を強く求めた。

 過去のスポーツ界における第三者委員会は、十分な実態解明に至らなかったケースが多かった。今回もファンの怒りを鎮めるためのガス抜きで終わってしまう可能性がある。要望書には、厳しい追及が公開されている全日本柔道連盟の「助成金に関する第三者委員会」が例に挙げられ、プロ野球界も調査経過を広く公開して、公正・中立な判断が下されることを要求した。今日28日の第三者委員会発足を前にクギを刺した形だ。

 加藤コミッショナーの任期は来年夏のオーナー会議まで、あと1年残っている。進退問題を先延ばしにする玉虫色の決着では、選手はもちろん、ファンも納得しない。嶋会長は「ファンの皆さんの憤りを思うと、今後NPBが、誰が責任者か分からない組織ではなく、強力なリーダーシップを持ったコミッショナーのもと、ファンの声、現場で戦う選手の想いもひとつにし、プロ野球を発展させる組織に変われるかどうかが問われている」とコメントした。要望書提出後、報道陣の取材に応じた松原事務局長も「第三者委員会にはきちっとした調査をしてもらいたいと思います」と話した。

 選手会の追及による問題発覚から2週間がたち、収束ムードが漂い始めていた。ところが、巨人渡辺球団会長が26日にこの騒動について初めて言及し「加藤コミッショナーに責任はない」と擁護したことが影響したのか、事態は大きく動きだした。見計らったかのような絶妙なタイミングで、選手会が統一球問題に再び活を入れた。