<オールスターゲーム:全パ3-1全セ>◇第3戦◇22日◇いわき
おいしすぎる!
「マツダオールスターゲーム2013」で全パのソフトバンク内川聖一外野手(30)が一振りでMVPの賞金300万円を獲得した。8回に1-1と追いつき、なおも1死一、二塁。この試合初打席の初球を決勝の2点適時二塁打にした。右脇腹痛を抱えながら意地の一打。最後の1人を決めるプラスワン投票による出場で、ロッテ井口から頂き物のバットでヒーローになった。
全パに浸透した両手Vサインポーズ。破顔した内川が二塁ベース上で繰り出した。「去年は楽天のBurn(バーン)だったでしょ。今年はマッチ(松田)が決め、みんなが乗っかってっくれた。人生で一番、最高のVサインです」。ベンチに戻ると、Vサインした指先でタッチする一風変わった儀式で盛り上がった。
7回に代走から出場し、おいしい場面が8回にやってきた。大谷の同点打に中田が安打で続いた。日本ハムコンビが整えた1死一、二塁のチャンス。山本哲の初球だ。外角スライダーに少し泳がされ、最後は右手がバットから離れながらもヘッドをうまくコントロール。左中間を深々と破った。「真っすぐを狙ったんですが、高めだったのでうまく引っ掛かってくれた。一昨日(第2戦)ゲッツー2個でチームに申し訳なかったので。最後にいい思いをさせてくれる場面が回ってきました」。一振りで勝ち越しの2点適時二塁打。試合を決めた。
バットは頂き物だった。「井口さんからもらったバットを試合で初めて使ったんです。いろいろ話を聞いていると、自分より短いバットの人が多かったんです。僕の力でなく周りの人に打たせてもらった」。長さ33・5インチ。内川のバットより0・5インチ(約1・3センチ)短かった。「井口さんのはヘッドにバランスがあった」と、球宴ならではの“技術交流”が陰にあった。
体はぼろぼろだ。15日ロッテ戦の守備で左翼フェンスに激突し、右脇腹の痛みが1週間経過しても消えない。「起き上がるのも痛い。打つ分にはいいけれど、投げると力が抜ける。肋(ろく)軟骨を損傷しているのかも…」。球宴はすべて守備を回避したほど。今日23日に福岡市内の病院で検査を受ける。後半戦に向け、不安材料だが、降りしきる雨の中、応援してくれたファンに応えた。両リーグで首位打者をとった男の意地の詰まった一打だった。
ファンによるプラスワン投票で最後の32番目で出場で、最後においしい場面をかっさらった。「一振りで300万円っていいんですかね」。MVPインタビューではマイクを握り、本拠地のお立ち台を“再現”。アントニオ猪木の「1、2、3、ダー!」を球宴初開催となった福島のファンと大合唱。「この試合しか見られない人、一生の中の1試合になる人もいるかもしれない。そこに対して真剣にならなきゃ。盛り上がって良かった」。プロの誇りも詰まっていた。【押谷謙爾】



