中日井端弘和内野手(38)が減額制限の40%をはるかに上回る88%の大減俸を提示されていることが2日、分かった。来季契約に向けた下交渉で今季の年俸1億9000万円(推定)から、ダウン率では過去最大級の大幅ダウンとなる、2300万円前後を提示されたとみられる。今後も球団側と交渉を行うが、退団する可能性が高い。

 長年、中日を引っ張ってきた井端の退団が濃厚となった。発端は10月下旬に行われた来季契約に向けた下交渉。その席で球団側から今季推定年俸1億9000万円から1億6700万円ダウンとなる2300万円前後の提示を受けた。88%ものダウンは、同一球団での再契約ケースに限れば、球界でも過去最大級のダウン率。02年オフにヤクルト伊藤智仁が88%減(8000万円→1000万円)で契約更改した例がある。大幅ダウンを覚悟していた井端も、態度を硬化。交渉は決裂した。

 すでに退団を覚悟しているようだ。10月に右足首、右肘と相次いで手術したが、来季に向けてナゴヤ球場でリハビリを続けていた。全員参加の予定だった前日1日の秋季キャンプ初日を欠席。新任のコーチ陣も集まっての新体制スタートの日に顔を出さなかったのは井端だけだった。この日もナゴヤ球場には姿を見せなかった。球団関係者との連絡も絶っており、すでに球場内のロッカーも整理しているという。

 数カ月前は「時の人」だった。侍ジャパンのメンバーに選ばれた3月のWBCでは18打数10安打と打ちまくり、チームの勝利に貢献。勝負強い打撃で崖っぷちから日本を救う姿は、まさに救世主だった。しかしレギュラーシーズンは相次ぐケガの影響で満足なプレーができず。出場は100試合にとどまり、打率2割3分6厘、1本塁打、18打点に終わった。

 球団は井端の返答を待って交渉を継続する方針だが、応じる可能性は極めて低い。平行線をたどれば自由契約やトレード要員となる可能性もある。中日一筋16年。7度のゴールデングラブ賞に輝くなど、ドラゴンズの一時代を築いた球団の顔が、このままチームを去ることになる。

 ◆井端弘和(いばた・ひろかず)1975年(昭50)5月12日、神奈川県生まれ。堀越-亜大を経て、97年ドラフト5位で中日入団。3年目の00年途中から内野のレギュラーに定着し、04~09、12年とゴールデングラブ賞7度。荒木雅博との二遊間は「アライバ」コンビと呼ばれた。13年WBC出場。173センチ、75キロ。右投げ右打ち。