<オープン戦:ロッテ7-4オリックス>◇16日◇石垣

 史上最南端から球春到来だ。ロッテのドラフト5位、井上晴哉内野手(24=日本生命)が、石垣島で初めて行われたプロ野球のオープン戦で快音を連発させた。オリックス投手陣から3安打の固め打ち。紅白戦から数えれば、3試合連続の複数安打で評価はうなぎのぼり。未知数の能力を持つルーキーが、存在感を示した。

 ていねいに地面をならし、最後に右足で2回、後ろに土をかいた。井上は打席に入る際、闘牛になりきっていた。前夜、歓迎闘牛を観戦した際、取り組み前の牛が見せていた闘志満々のポーズ。「牛の闘志が乗り移っていたんでしょうね」と、牛からもらったエネルギーを爆発させた。

 打撃には思い切りの良さと、技術の高さ、そして力強さが表れていた。2回、最初の打席は、直球2つで1ボール1ストライクとなった後、左投手の外角から入って来る変化球を右前へ運んだ。4回の第2打席は外国人投手の初球を左前へ。そして6回の第3打席は、高めの球を上からたたき、右中間フェンスに直撃させた。すべて初対戦の投手から。「今日は来た球に反応して打てました」と好感触を振り返った。

 この日は初の対外試合だった。体は大きくてもルーキーだ。さすがに緊張していた。試合前、里崎に「緊張してます」と吐露すると「必要以上に自分に求めているからだよ」と指摘された。それで緊張が解けた。「持ってるものしか出せない。自分にできることをやればいい、と思えて楽になりました」と感謝した。

 115キロの体重が示す通り、太鼓腹の持ち主だ。立花打撃コーチからは「そのおなかを出せ」と珍指令を受けている。打撃の際、おなかを隠すように縮こまると、バットの通り道ができない上に、パワーも伝わらない。「おなかをみんなに見せるように振ればいいんだよ」。その指示のおかげで、この3試合は11打数8安打と打ちまくった。

 人気と実力の両方を見せる井上に、山室球団社長も目を細める。「他の新人は行こうともしなかったけど、彼は闘牛の牛の背中に乗りにいった。そして本業の方でも活躍してみせる。プロっていうのは、こういうのが大事ですよね」。究極のファンサービスを目指す社長のお眼鏡にもかなった。井上の存在が、日に日に大きくなっている。【竹内智信】