<オープン戦:オリックス3-7広島>◇11日◇京セラドーム大阪

 31年ぶり快挙が見えた!

 広島ドラフト3位田中広輔内野手(24=JR東日本)が11日オリックス戦(京セラドーム大阪)で適時三塁打を含む2安打を放ち、オープン戦打率を5割に乗せた。4位西原圭大投手(25=ニチダイ)も1イニングを完全投球で4戦連続無失点。1位大瀬良、2位九里とともに、83年以来となるカープ新人4選手の開幕1軍が現実味を帯びてきた。

 土俵際に強い。田中は2ストライクと追い込まれても、簡単にアウトを献上しなかった。左腕海田の外角低めに逃げるカットボール。泳ぎながらも食らいつき、前進守備を敷いていた中堅手の頭を越した。「前に来てなかったら、ただのセンターフライですよ!」。照れ笑いする24歳ルーキーは今やカープの注目株だ。

 9番三塁で先発。1点リードの7回1死二塁から中越え適時三塁打を放った。さらに9回も二遊間を抜いた。オープン戦は計10打数5安打1本塁打で打率5割。野村監督は「非常に勝負強い。1軍に近づいている」と絶賛。当確ランプ点灯こそ先送りとなったが、開幕1軍が確実視される。

 東海大相模、東海大で同期だった巨人菅野は今季、開幕投手を務めることが決定的。「あいつはもともと力があった。対戦が楽しみだねと言われています」。1年目から同じ土俵に上がるつもりだ。打撃フォームをクロスステップからスクエアに改良し、「低めに手が出なくなって、バットが遠回りしなくなった。いい凡打が多い」と納得顔。二遊間のバックアッパーとしてはもちろん、三塁レギュラー争いで本命堂林に挑む立場にまで昇格した。

 一方、田中より1歳上の25歳西原も負けてはいない。5回の1イニングを完全投球でオープン戦ながらプロ初星をゲット。「腕が振れなかった」と反省したが、4戦連続無失点で激しい中継ぎ1軍枠争いに踏みとどまっている。指揮官も「おもしろい存在」と高評価。変則スリークオーター右腕の奮闘もあり、いよいよ31年ぶりの快挙が現実味を帯びてきた。すでにドラフト1位大瀬良が先発4番手と見込まれ、同2位九里も先発5番手に大前進中。カープの新人4選手が開幕1軍に残れば83年の白武、定岡、田中、堀場以来だ。

 この日は3年前、東日本大震災に見舞われた3月11日。田中は当時、東海大野球部の沖縄キャンプ最終日に参加し、練習後に大震災の事実を知ったという。「沖縄を離れるのが1日延期になったのを覚えています。今野球できていることに感謝しています」。身も心も成熟した新人カルテットが、新たな歴史をつくろうとしている。【佐井陽介】

 ▼広島の新人4選手が開幕1軍入りを果たせば、83年以来、球団31年ぶりとなる。同年の広島は、白武佳久投手、定岡徹久外野手、田中和博投手、堀場秀孝捕手の新人4人が開幕1軍入りした。また、最近では楽天が06年に青山浩二投手、松崎伸吾投手、河田寿司捕手、草野大輔内野手、西村弥内野手の5人を開幕メンバーに登録している。