阪神が緊急補強のため米独立リーグに所属する元ロッテ渡辺俊介投手(37)米大リーグ・カブス3Aに所属する和田毅投手(33)の獲得調査を行っていることが5日、明らかになった。開幕から打線爆発で好位置につけている和田阪神だが、投手陣の駒不足が懸念されており、悲願のリーグ制覇へ向けて球団も7月の補強期限ぎりぎりまで積極的な動きを見せる。

 阪神の緊急補強リストに2人の大物投手がいることが分かった。球団は開幕前から先発投手補強を模索してきたが、その中の1つとしてアメリカでプレーする渡辺、和田の調査を行っている。ロッテ、ソフトバンクでともにエースとして活躍し、海を渡った2投手について球団首脳は「それも選択肢の1つ。調査しないといけない」と話した。

 より現実味があるのは渡辺だろう。昨年オフ、ロッテを自由契約となり、レッドソックスとマイナー契約を結んだ。今年のスプリングトレーニングでは3試合に登板したが、3イニング2失点の結果で解雇となった。その後、米国でのプレーを希望して4月に米独立リーグ、アトランティック・リーグのランカスターと契約した。

 ロッテのエースとして通算87勝、またWBC日本代表としても実績を挙げた渡辺は先発として十分に計算できる戦力であり、地面すれすれから投げるサブマリン投法は免疫の少ないセ・リーグ相手には威力を発揮しそうだ。メジャー関係者によれば渡辺は登板機会を求めており、本人の希望と条件次第では日本復帰の可能性もあるという。

 また、ソフトバンクで通算107勝を挙げ、11年オフに海外FAでオリオールズへ移籍した左腕和田は左肘手術を経て、今年3月にカブスとマイナー契約。3Aアイオワで先発として活躍している。メジャー昇格の機会もうかがっていることから、早期日本復帰の現実味は薄れるが、球団は今後も動向を注視していく方針だという。

 阪神は5日現在で首位と2ゲーム差の3位につけているが、好調な打線に比べて投手陣は駒不足が否めない。特に先発は能見、メッセンジャー、藤浪の3本柱、4番手として新人岩崎が奮闘しているものの、長丁場を見据えれば不安が募る。チーム関係者も「投手陣の絶対数が不足しているのは明らか。先を見据えて補強する必要があるのではないか」と明かす。この日はヤクルトに大敗し、一夜にして巨人と入れ替わって3位に転落。ただ首位広島とは2ゲーム差で、今後この2チームと競り合い、突き放すため、緊急補強が必要だと話す。

 球団は7月末の補強期限までトレードも含めて調査を継続。上位争いをしているうちにあの手、この手で補強策を探っていく。

 ◆渡辺俊介(わたなべ・しゅんすけ)1976年(昭51)8月27日、栃木県生まれ。国学院栃木-国学院大。新日鉄君津時代には00年シドニー五輪日本代表。同年ドラフト4位でロッテ入り。06、09年のWBCに出場。13年オフにロッテを退団し、レッドソックスとマイナー契約も今年3月に解雇。今季は米独立リーグのランカスターで、4試合に登板し1勝0敗、防御率1・80。177センチ、70キロ。右投げ右打ち。

 ◆和田毅(わだ・つよし)1981年(昭56)2月21日、島根県生まれ。浜田-早大。02年自由獲得枠でダイエーに入団。03年14勝を挙げ新人王。10年には17勝で最多勝とMVP。11年オフにFAでオリオールズに移籍。12年5月に左肘靱帯(じんたい)再建術を受けた。日本通算107勝61敗、防御率3・13。今季はカブス3Aで5試合に登板し4勝1敗、防御率0・57。179センチ、77キロ。左投げ左打ち。