網走の最速152キロ右腕が運命の時を心待ちにしている。プロ野球ドラフト会議は今日23日、東京都内で行われる。東農大北海道・風張蓮投手(4年=岩手・伊保内)は1位の可能性も浮上し、上位指名は濃厚。母校の伊保内高では“パブリックビューイング”の開催を予定しており、地元もヒートアップしてきた。

 風張の表情に緊張はなかった。プロ全12球団の調査書が届いた。どの球団が自分を指名をするのか。ドラフト会議を翌日に控え「呼ばれなかったらどうしようとか考えたりしますよ」と口にしながらも、表情はリラックスしていた。

 上位指名は確実だ。阪神は9月27日に苫小牧で行われたリーグ戦を中村GMが直接視察するなど熱心。ほかにも8月の東北遠征では楽天も幹部らが練習試合を見るなど、熱視線を送った。複数球団が上位にリストアップしており、1、2位での上位指名が現実味を帯びてきた。樋越勉監督(57)は「絶対にプロに行かせると決めて親御さんから預かった。評価がもらえてほっとしている。どこに行くのか楽しみだね」と笑った。

 地元も盛り上がりを見せ始めた。全校生徒130人の母校、伊保内ではドラフト会議のテレビ中継を生徒が観賞できる場を設ける予定。同校野球部の川袋康史部長(49)は「いよいよだなという感じ。伊保内高校の誇りです」とヒーロー誕生を期待。翌日の24日には全校集会で会議の結果が発表されることが決まっているという。風張は「学年もかぶってない自分のために…」と感激した。出身の人口6000人余りの九戸村も初のプロ野球選手誕生を心待ちにする。

 今年のドラフトの目玉、早大・有原航平投手(4年)は昨年の大学日本代表候補合宿で同部屋になり、親交を深めた仲。「新聞とかで結果を少し気にして見ている。あっちはバリバリの1位候補ですからね」と動向をチェックしている。今は知名度、実績ともに劣るが、プロでそうとは限らない。「自分はもうただ待つだけ」。オホーツクの地で吉報を信じている。【保坂果那】

 ◆風張蓮(かざはり・れん)1993年(平5)2月26日、岩手県九戸村生まれ。九戸長興寺小3年から銀杏クラブで野球を始める。九戸中では2年夏からエース。伊保内では2年秋、岩手県大会1回戦の花巻南戦で17三振を奪い、注目を集めた。3年夏は県大会3回戦進出。甲子園出場経験なし。東農大北海道入学後は1年と3年時、全日本大学野球選手権出場。大学通算16勝3敗、防御率1・69。家族は両親、兄、弟、祖母。185センチ、85キロ。右投げ右打ち。