前WBC世界フライ級王者内藤大助(35=宮田)が、現役続行の意向を関係者に伝えていたことが11月30日、分かった。亀田興毅(23=亀田)との6度目の防衛戦に判定負け。試合直後は進退について言葉を濁していたが、関係者に対し、現役続行を前提とした今後の協力を求めた。この日は都内の病院で、鼻の軟骨が曲がっていたため矯正し、全治3週間と診断され、カットした右目上を7針縫う手術を受けた。

 戦う意思は、まだ残っていた。関係者によると内藤は、別の関係者に対して「雪辱したいので助けてください」という内容のお願いをしたという。試合直後の会見では「今はまだ何も考えてない」と話し、態度を保留していたが、このままでは終われないと思ったのだろう。再びリングに立つための準備を始めた。

 「負けたら引退」という強い覚悟で、興毅との対決のリングに上がっていた。それが、妻真弓さん(36)との約束だった。だが、その妻が試合後、内藤の控室を訪れ、宮田会長に「続けさせてください」と直訴している。最愛の家族が戦い続けることを望むのなら、内藤も心を揺り動かされてもおかしくないところだ。

 内藤はこの日、都内の病院で診察を受けた。曲がった鼻の軟骨の矯正治療を受け、カットした右目上は7針縫う手術を受けた。今後は当分、自宅で療養することになりそうだ。顔の腫れも残っているが、鼻の治療は全治3週間。練習再開まで、それほど長い時間はかからないとみられる。

 07年10月に内藤は「国民の期待に応えたい」と予告して亀田家の次男大毅に勝ち、人気が急上昇した。長男興毅には敗れたが、試合の視聴率はボクシング中継史上2位の43・1%をマークした。都内の宮田ジムには、朝からファンからのメールやファクスが相次ぎ、電話も鳴りっぱなしだったという。宮田会長によると、その総数は「数百件」。そのほとんどが「まだやめないで」と、現役続行を期待する内容だったという。

 宮田会長は「内藤にはお疲れさま、精いっぱい頑張った、とだけ言いたい」と話し、現役続行か引退かについては明言を避けたが、近日中には内藤と話し合いを持つ方向。内藤はその席で現役続行を告げることになりそうだ。