角界では、酒を「馬力」という。お酒が強い人は「馬力が強い」といわれる。出来山親方(元関脇出羽の花)は現役時代、同じ出羽海部屋の鷲羽山、大錦、佐田の海と4人で「一晩で一升瓶10本空けたことがあったよ」と明かしてくれた。
さすがに翌朝は二日酔いも、その分稽古した。「飲んだ次の日は汗が出ないから、自然と稽古量が多くなった」と同親方。飲める体力があり、飲むほどに稽古もするから、強くなる。「いくら飲んでも酔わない」といわれた当時の北の湖が、それを証明していた。
今の角界は、白鵬や臥牙丸ら海外勢に酒の強い力士がそろう。そんな中“酒豪日本代表”が佐田の富士。20歳のころの自己記録は「缶酎ハイ20本と瓶ビール10本を飲んだ後、みんなにあおられて日本酒も1升飲みました。20秒くらいで」。30歳になり「量は減った」というが、昨夏には1リットルの生ビールを7杯空けたという。
そんな話を場所前に聞いて楽しみにしていたが、最高位の西前頭2枚目で初日から13連敗。長いトンネルを抜け出せない。190センチ、208キロの体はまさに馬力十分。91年名古屋の板井以来となる幕内での15連敗がちらついてきたが、飲める男の意地を見せてほしい。【木村有三】


