<プロボクシング:全日本新人王決勝戦5回戦>◇19日◇東京・後楽園ホール◇2500人

 東の「新KOキング」が本領発揮で頂点に立った。ライト級の土屋修平(24=角海老宝石)は三好祐樹(23=FUKUOKA)の右あごを左フックで骨折させ、1回終了TKO勝ちした。元キックボクサーで、昨年4月にボクシングに転向して角海老宝石ジムに入門。そこから8戦全勝、すべてが2回以内KO。東日本新人王準決勝に続き、相手のあごを折る強打で全日本新人王を手にし、MVPを受賞した。

 新たなKOキング誕生の瞬間だった。1回後半、赤コーナーを背にした土屋が三好のあごに左フックを放った。「いい音がしたので倒れるかなと思ったけど、倒れなくてびっくりした。感触はありました」。そのまま1回終了。だが2回が始まることはなかった。切れ味鋭い1発で相手の右あご骨折が判明しTKO勝利。衝撃のラストに観衆がどよめく中、土屋はリング中央でバック宙を披露し「見えないパンチもなく想定内でした」と笑顔を見せた。

 抜群の運動神経を誇る。空手2段で、高校時代は試合出場だけを頼まれラグビー部に入ってSOをけがせず務めきった。卒業後に上京し、キックボクシングの世界へ。13戦8勝(4KO)4敗1分けとまずまずの戦績も「教えてくれる人もいなくてどうしていいか分かんなかった。このまま腐りたくなかった」。そんな09年3月、角海老宝石を見学。ジムの外から眺めていると、元世界王者の小堀を育てた田中栄民トレーナーに「ボクシングやれよ」と、試合のチケットを渡された。「(決断理由は)直感でした」。すべては、ここから始まった。

 名伯楽との出会いが「頑丈だしバランスがいい」(田中トレーナー)土屋の才能を開花させた。8戦8勝で、すべてが2回以内のKOで新人王の頂点へ。20年ぶりの同一ジム3階級制覇を同ジムにもたらし、日本ランカー入りも決めてMVPも受賞した。土屋は「ここからスタートなんで。1戦1戦です」と謙虚に答えるが、金髪で引き締まった肉体美を持つイケメンの新KOキングの未来から、目が離せそうにない。【浜本卓也】