WBC世界フライ級王者の八重樫東(30=大橋)が暑熱対策を万全にして、初防衛戦に臨む。5日、横浜市の所属ジムで練習を公開。12日に東京・大田区総合体育館で同級11位オスカル・ブランケット(28=メキシコ)の挑戦を受ける一戦は、テレビ中継の照明などの影響で、リング上が40度近くになることを想定。運動生理学に詳しいフィジカル担当トレーナーを「特別セコンド」につけ、試合中の体温コントロールを意識したサポート態勢を整える。

 屋内でも、真夏のリングは侮れない。昨年7月、埼玉・春日部で開催された内山高志のV5戦と五十嵐俊幸の世界挑戦というダブル世界戦のテレビ解説を務めた八重樫は、異様な会場の暑さを体験した。東北の岩手出身だけに暑さには敏感。「あの時、会場がすごく暑かった。特にリングは相当な暑さだったはず。今回はしっかりコンディションを整えないといけない」と警戒心を強めた。

 会場の大田区総合体育館内の温度も上昇する可能性が高い。3000人を超える観衆の熱が場内を包み、テレビ中継の照明もリングを熱する。また今年5月、WBAダブル世界戦が同体育館で開催された際、一時的な電力ダウンが発生した。今回はテレビ中継局が、移動電源車の用意を検討するほどの状況。試合当日も大量の電力が必要な強い冷房は期待はできず、リング内の体感温度は暑くなりそうだ。内山と八重樫のフィジカル強化を担当する土居進トレーナーは「春日部の世界戦はリングが40度以上はあった。試合中の水分補給は考えないといけないでしょう」と、警鐘を鳴らした。

 筑波大大学院で運動生理学も専攻した土居氏によれば、体温が38~39度あたりまで上昇すると身体機能が一気に低下するという。同氏は「選手は試合に集中して自覚がないまま急に疲労がくる。動きを見て体を冷やすよう伝えたい」と説明。大橋ジムの大橋秀行会長(48)は「土居さんにセコンド近くに座ってもらい、アドバイスをもらいます」との意向を示した。

 八重樫は「試合中のインターバルは、しっかり水を飲みたい。試合も激闘ではなく、スピードとテクニックという自分の戦い方で」と表情を引き締めた。05年8月のデビュー3戦目以来となる真夏の試合。八重樫は心も体も、そして戦い方もクールを保つ意気込みだった。【藤中栄二】