ボクシングの12年ロンドン五輪ミドル級金メダリストで、来月5日にプロ5戦目を控えるWBC同級12位の村田諒太(28=三迫)が26日、都内のジムで練習を公開した。3回のスパーリングでは、2階級上のライトヘビー級を主戦場とするライオネル・トンプソン(米国)を持ち前のパワーとプレッシャーで圧倒。世界ランカーとして臨む初の試合で、堂々のKO決着を誓った。

 村田は鋭い出足から、次々と体重の乗ったパンチを上下に打ち込んだ。2回、ロープ際に追い込むと、強烈な左右の連打。スリップ気味ながらも、相手が思わず尻もちをつくほどの迫力満点の攻撃を見せつけた。今回が初来日のトンプソンは「試合だったらダウンを取られていた。ライトヘビー級でも戦えるパワーを持っている。ボディーが強烈だった」と脱帽した。

 村田にとって、今回は世界挑戦が可能となる、ランキング15位以内に入って初めての試合。それだけに「タイトルマッチの話があってもいい位置。実力がついたと納得してもらえる試合をしていかないといけない」と、強い覚悟を口にした。

 来年中にも視野に入れる世界挑戦に向け、追い求めるスタイルに迷いはない。現在の主流は、5階級制覇王者フロイド・メイウェザーに代表されるように「防御を固め、ジャブでポイントを奪う」戦い方だ。だが、村田はアマ時代から「倒しにいく」戦い方へのこだわりを捨てていない。

 「僕はコバレフや、ゴロフキンなどの旧ソ連系のパワースタイル。そっちの方が面白いと思うし、メイウェザーをまねたとしても、その域までは達せない。それなら村田諒太らしく倒すことを意識してやっていく」と言葉に力を込めた。

 迎え撃つメキシコ同級王者のルナは、プロ20戦のキャリアを誇る長身の難敵。それでも「目指すのは世界。ここでつまずいている場合ではない。きっちり勝ちます」と言い切った。村田に迷いはない。【奥山将志】