横綱白鵬(30=宮城野)が、瞬く間に豪栄道を寄り切った。仕切りから立つと、踏み込まずにその場で右から張り手。すかさずもろ差しになり、土俵外まで一気に走った。強さが際立つ2・5秒で、ただ1人1敗をキープした。

 リベンジに成功した。先場所は逆転の首投げで敗れ、際どい勝負も物言いはつかず、土俵下で1分間も控えに座らず物議をかもした。この日も館内からは、V争いが混戦になることを期待してか豪栄道コールが沸き起こったが、白鵬は「そういう立場にいるからね」とサラリ。圧倒的勝利で、今度は自身に拍手が降り注ぐと「お客さんが一番分かってるんじゃないの」と、満足げに話した。

 残りは2日。今日14日目の稀勢の里戦に勝ち、鶴竜が負ければ35度目優勝が決まる。「もう2日だけど、まだ2日だね。まあ、いい相撲を取れるように頑張りたい」。その口ぶりは、余裕たっぷりだった。