大相撲の幕内力士で元関脇の旭天鵬(40=友綱)が27日、現役を引退し、年寄「大島」を取得、襲名した。

 西前頭11枚目で臨んだ名古屋場所は3勝12敗で終了。来場所の十両転落が確実になったことで、以前から「十両に落ちたら引退する」と公言してきた通り、現役生活に別れを告げることを決断した。

 旭天鵬は92年春場所で、元小結旭鷲山らとともに大島部屋所属力士として、モンゴル人では初めて初土俵を踏んだ。98年初場所に新入幕。03年名古屋場所では、自己最高位の関脇に昇進。05年6月には日本国籍を取得した。12年4月には大島親方(元大関旭国)の定年により部屋が閉鎖されたため、友綱部屋に移籍。西前頭7枚目だった12年夏場所では12勝を挙げ、栃煌山との決定戦を制して初優勝も飾った。37歳7カ月での初優勝は史上最年長だった。

 他にも数多くの記録を残した。昨年九州場所では40歳2カ月で10勝を挙げて敢闘賞を受賞し、幕内最年長2桁勝利と三賞受賞を達成した。今年夏場所5日目には、魁皇の1444回を更新する1445回の幕内最多出場を達成。今場所初日で40歳9カ月29日となり、大潮の40歳9カ月13日を抜いて昭和以降3位の高齢幕内力士となった。次の目標に、秋場所で到達するはずだった「幕内在位100場所」を掲げていたが、あと1歩のところで届かなかった。

 勝っても負けても、明るくにこやかに対応する温厚な人柄は、モンゴル人力士だけでなく多くの日本人ファンにも愛され、慕われた。肌のつや、時折見せる豪快な上手投げは、まだまだ若さを感じさせるものがあったが、角界の“レジェンド”は、惜しまれつつ土俵を去る。