西前頭4枚目の安美錦(37=伊勢ケ浜)が7勝目を挙げ、勝ち越しに王手をかけた。

 東前頭10枚目の臥牙丸(29=木瀬)を突き落とし。もろ差しで攻め込み、思い切って体を開いて転がした。「前に行くしかない。相手が見てくると思ったから、びっくりさせようかと」と振り返った。

 白星を挙げたが、両膝は限界に近づいている。この日朝、起きたら右膝の半月板がずれるような感覚になり、まともに歩けなくなった。病院に向かい、痛み止めの注射を打って、強行出場した。そんきょすることが難しく、日馬富士の横綱土俵入りで務めてきた露払いは、同じ伊勢ケ浜一門の大栄翔に代わってもらった。

 「あと1番、無理して頑張るか…。っていいながら、休場したらどうする?」。得意の冗談を口にしたが、満身創痍(そうい)に変わりはない。千秋楽の隠岐の海戦は、勝てば三役復帰の可能性が広がる一番でもある。