マドンナのバックダンサーなどで活躍するケント・モリや、米NBCテレビで放送されている公開オーデョション番組「アメリカズ・ゴット・タレント」のシーズン8に出演して驚愕のダンス・パフォーマンスで優勝した蛯名健一など、昨今は米エンターテインメント業界での日本人ダンサーの活躍が目立っています。これまで、アジア人にとっては敷居の高かったダンスの世界ですが、オリエンタルに対する目も少しずつ変わってきているようです。ロサンゼルスで、ダンサーとして数々のショーに出演する船曳勇介(ふなびき・ゆうすけ)さんに、そんなLAのダンス界について話を伺いました。
船曳さんは、高校生の時に日本でダンスを始め、歌手倖田来未の専属振付師をしているFukoさんに師事。その影響で、高校卒業後の2009年にロサンゼルスに渡り、ダンス留学。すっかり本場LAのダンスの魅力に取りつかれたと言います。ブリトニー・スピアーズやジャスティン・ビーバーなど数多くの有名アーティストも利用するノースハリウッドにある有名なダンススタジオ、ミレニアム・ダンス・コンプレックスなどに通いながら、ダンスのスキルを磨きました。「LAには、世界的に有名なアーティストたちが集まってきてレッスンやオーディションをするような有名なスタジオがいくつかあります。有名な振付家もクラスを持っているので、プロとして舞台に立つには、ダンススタジオでのコネクションも大事になってきます。そんなつながりで、私もカーニバルと言う有名な振付家たちがやっているダンスイベントに定期的に出演させてもらっています」
昨今は日本人ダンサーの活躍が目覚ましいですが、人種に関係なく、自分のオリジナリティーをいかに表現するかが重要だと言います。「ケントさんも、蛯名さんも、それぞれ自分のオリジナリティーがあって、それをちゃんと理解している。そこが他の日本人とは違う所ですね。だから抜きんでるんだと思います。日本人はアメリカ人に比べると、自己アピールが下手なので、損してるなと思います。文化の違いなのか、自由にやってと言わると急に立ち止まってしまったりします。一方で、日本人はすぐに振りを覚えて周囲に合わせることができるので、仕事をするにはやりやすいと思われていると思いますよ」
日本とアメリカでは、レッスンの仕方から違うと言います。基礎レッスンが中心の日本に比べ、アメリカではいきなり応用から入るのだとか。「基本ができないのに応用はできないと言うのが日本人の考えですが、こちらでは基本ができないのに、振付を渡されるとなぜか上手くできてしまう。すごく不思議ですね。ぜんぜんスタイルが違います。上にいけるような目立つ人は、そこですぐに目につきます」。
船曳さんはディズニーチャンネル出身のアイドル、ポール・バッチャーのミュージックビデオや、人気女性グループ、パラディソ・ガールズのアリア・クレッシェンドのクラブツアーなどに出演。現在はベトナムや中国などアジア圏の有名アーティストのバックダンサーとしてステージに立っています。「LAはアジア圏の人口が多いので、中華系のアーティストのコンサートのバックダンサーは物凄く需要があります。それに最近は、マドンナがツアーのバックダンサーに5人のアジア人を雇うなど、以前に比べてアジア人が活躍できる場が増えてきていると感じます。黒人や白人に交じって、アジア人が有名アーティストのバックにいることが当たり前のようになっています。日本と比べると、こちらは仕事をもらえるチャンスは雲泥の差。誰にでも平等にチャンスがあるのが魅力ですね」。
オリエンタルなルックスも今は長所ととらえられるようになったダンス界。しなやかでセクシーな動きが得意と言う船曳さんは、ミステリアスで中性的な魅力を生かし、ジャネット・ジャクソンやブリトニー・スピアーズのバックダンサーをすることが、今の目標だと言います。「マライア・キャリーやリアーナら錚々たる大御所のバックダンサーを務めている日系人ダンサーのブライアン・タナカのようなダンサーになりたいです。いつか一緒のスタージに立てたら嬉しい」。
◆船曳勇介(ふなびき・ゆうすけ)2006年アシックス・ファッションショーに出演。同年より3年間、倖田來未ライブツアー”Black cherry”“Kingdum”“Trick”のアシスタントコリオグラファーを務める。2013年、15年カリフォルニア州サンタクララで開催されたモンスターズ・ヒップ・ホップ・コンベンションでスカラシップ獲得。2013年からLAで本格的にバックダンサーとして活躍を始める。
【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)



