スティーブン・スピルバーグ監督がメガホンをとって大ヒットさせた「ジュラシック・パーク」(93年)から22年。世界興行収入が9億ドルを超えた同作の22年後を舞台にした「ジュラシック・ワールド」が、6月12日に全米公開され、予想外の大ヒット快進撃を続けています。公開からわずか13日目で10億ドルを超え、「ワイルド・スピード SKY MISSION」や「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」など今年のヒット作を次々と抜き去り、公開からわずか1カ月で今年最高のヒット作に。歴代全米興行収入でも、「ダークナイト」(08年)「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」(06年)などを抜いて歴代4位に浮上。全世界でも「アナと雪の女王」(13年)を抜き去り、5位にランキングしています。正直、ここまでの大ヒットは誰も予想しておらず、驚きの声があがっています。

 「ジュラシック・パーク」のヒット後、97年に「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」、01年に「ジュラシック・パーク3」が製作されていますが、今作はあくまでも1作目の続編という位置付け。スピルバーグ監督が製作総指揮をとり、新進気鋭のコリン・トレボロウ監督を起用し、1億5000万ドルを投じた超大作です。蚊の血液から採取したDNAによってよみがえった恐竜たちに破壊された「ジュラシック・パーク」でしたが、新たに買収されたインジェン社による遺伝子工学技術で新たに恐竜を次々と造りだして新たな恐竜テーマパーク「ジュラシック・ワールド」として復活。しかし、遺伝子操作で生み出された新種の恐竜たちが檻から逃げ出し、多くの観光客に襲い掛かるというストーリー。

 過去に大ヒットしたシリーズもののリメーク作が目白押しの今夏のハリウッドにおいて、突出した話題性があったわけでもなく、ストーリーも単調なため、公開前は評論家の評価もいま一つ。辛辣なコメントも多く、1作目を越えるヒットになろうとは誰も予想していませんでした。しかし、蓋をあけると、1作目を子供の頃に観たと言う世代が今度は自らの子供を連れて大挙して劇場に押しかけているのだと言います。自分たちが幼い頃に楽しんだ作品が、続編としてよみがえったことで、再び家族でその世界を楽しみたかったからだと言われています。ノスタルジーを求める親世代と恐竜が暴れ回るのが楽しい子供世代が共に楽しめる2世代映画としてぴったりハマったことが大きな要因。さらに、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」で主人公に大抜擢されて人気急上昇中のクリス・ブラッドを主演に起用したことも、ヒットの要因の1つに挙げられています。

 全米各地の動物園では、ブラッド扮する恐竜の調教師が恐竜たちに“待て”と言う時にする両手を広げたポーズが大流行。ダチョウやサイ、ペンギンなど様々な動物たちを使ってそのシーンを再現した写真が、ネット上に次々とアップされて話題になっています。この“待て”ポーズも、映画同様に社会現象化しているようです。今もなお多くの人に愛され続ける1作目のファンたちは、きっと日本公開を待ちわびていることでしょう。日本では満を持して8月5日に世界最後の公開となります。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)