前週に引き続きLAを拠点に活躍する日本×アメリカの男女2人組ユニット、レイラ・レーンのボーカル/ギターのヒデのインタビューをお届けします。2回目はレイラ・レーン結成前のソロ活動や夢についてたっぷりお話を伺いました。

 UCLAでクラシックギターを学び卒業するもの、すぐにミュージシャンとして自立できずに路頭に迷ったと言います。「世の中にギターが上手い人なんてごまんといて、ギターが弾けるけどそれで何になるんだろうという現実にぶち当たりました。どうしようもないので、まずは自分の作品を作ろうとレコーディングをしました。それを聴いてもらうために電話帳を見て片っ端から電話をかけまくり、その中の1つが音楽プロデューサーで作曲家でもある喜多嶋修さんのスタジオでした。有名な人だとは知らずにかけたのですが、それが縁でロサンゼルス郊外にあるスタジオを訪れ録音を聴いてもらうことができ、アメリカで最初に僕の音楽を認めてくれました。お互いに大好きなビートルズの話題で意気投合し、ビートルズの音源を完全にコピーするプロジェクトをやることになりました。ギター、ベース、歌は全部自分1人でやりましたが、ドラムだけはどうしても叩けないので、知り合いを通じてビートルズのメンバーのソロ時代を支えた伝説の名ドラマー、ジム・ケルトナーを紹介してもらいました」

 そのプロジェクトの音源を聴いたケルトナーから、「お前の音楽は説明のつかない内から溢れるものがある」と言われ、それが縁で交流が始まり、著名ベーシストのクラウス・フォアマンのドキュメンタリー「サイドマン・ジャーニー」に収録されるセッションに呼ばれ、リンゴ・スターとも共演。「レジェンドと呼ばれるすごい人たちと一緒に演奏させてもらいましたが、自分はまだそのレベルではないことが分かり、ヘコみました。当時27歳くらいでしたが、そのことをケルトナーに言ったら、『テクニック的なことで言えば当たり前だ。俺たちは何年やっていると思っているんだ。でも他の人たちにはないものが君にはあるから呼んだんだ。不安な時期だろうが、やり続けたら大丈夫だ』と励まされました」

 音楽は1つの手段でしかなく、他にも漫画を描いてフェイスブックで発表したり、面白いと興味を持ったことは何でも挑戦すると言うヒデ。「自分の経験やメッセージを直に表現するのが“アーティスト”だと思うんです。だから僕はアーティストとして活動しています。歌手やギタリストは“音楽家”で、上手ければいいところまで行けると思うんですが、アーティストは上手いだけではダメだと思っています。伝えたいことや発信したいことがあって活動する中で、音楽という道もあれば、漫画という道もある。それぞれ同じ山頂に行く道だけど、違う景色が見える。多様さがあって良いと思うんです。バラエティーが好きだったので、LAで昔放送されていた日系テレビ番組でヴァレリーと一緒に漫才をしていたこともあります。周りの人は僕を見て迷走しているだとか、音楽だけに専念した方が良いとか言いますが、色々なことをやってみたいんです。何か内に秘めているものや人間力があるアーティストとして勝負していきたい」

 2014年にロサンゼルスで行ったライブを見に来てくれたことがきっかけでサンプラザ中野くんと知り合い、バイきんぐの小峠英二とユニットを組んだ「坊坊主」のアルバム「励ます」に収録されているDREAMERの楽曲を提供。昨年10月にはロサンゼルスでストリートライブも一緒に行いました。「ライブでお客さんの中になんとなく中野くんぽい人がいるなあと思い、確信があったわけじゃないんですけど、“もしかしてこの曲を歌ってる人ですか?”とRunnerを歌ったんですよ。その時はサングラスじゃなくてメガネに帽子で全然素顔分からなかったのに不思議ですよね。そしたら『僕が歌うよ』と本人が出てきて歌い始めたんです。その時に中野くんが“僕たちバンドを結成しました!”とノリで言ったのを真に受けて、後から『一緒に曲作りましょうよ』と言ってプロジェクトが実現しました。小学校の頃Runnerが大好きで、その人に曲を書かせてもらっているなんてワクワクします。今は色々な曲を中野くんのために書いて次のプロジェクトに備えています」

 「夢を1つずつ叶えていくことが一番ワクワクする」と言うヒデにとって、2016年は叶いそうな夢があるので、全身全霊を込めて実現していきたいと抱負を語っています。自らは大きな夢を手にしたヒデですが、日本には夢を持っていない若者が多いと言います。「夢の叶え方という講演を日本でやっていたのですが、『やりたいことがないから、やりたいことを見つけられるように頑張ります』と言われ、『夢の叶え方を伝えてもダメなんだ』とある時気が付きました。だから、夢をどうやって見つけるのかということから話すことにしました」

 そんなヒデから、日本の若者へのメッセージ。「色々なことを試すのも良いと、ヴァレリーなら言うでしょうね。でも、僕はトコトンやって見るのも良いと思います。トコトンやってみないと本当に好きかどうかなんて分からない。始めた時はワクワクして何でも楽しいですよね。でも少しするとそれに慣れて普通になるのは当たり前。その先にはヘコむ時期もあります。そこで諦めたら終わりですが、その先も続けたらまた面白くなる時期がきます。それはやった人にしか分からない面白さなんです。その繰り返しをしないと、本当の夢は見つけられないと思うんです。だから1つのことをやり続けることを恐れないで欲しいですね。例え仮にそれがダメでも、本気でやったことはほかでも活かされるはずです。僕自身も音楽をひたすらやっている上で色々な人と出会い、仮に音楽がダメになっても今まで出会った人という財産は残るし、驕りかもしれないけどヒデは本気で音楽に取り組んできたんだから他のこともできる人間だと思ってくれると思うんです」

 レイラ・レーンのデビューのきっかけとなった「ハッピー・レーン」が流れたコカ・コーラのCMのキャッチフレーズは「オープン・ハッピネス」。気付くと周りにはハッピネスだらけだったと言うヒデ。「ビートルズは『愛と平和』をスローガンに掲げていましたが、僕のモットーは『Happiness(ハッピネス)』です。今の幸せを継続することが幸せな人生を作ることです。愛の向こうにあるのは幸せ。だからこれからも人に幸せを与えることを追求していきたいです」

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)