作詞家・作家なかにし礼氏(76)が、がんを再発していたことが6日、分かった。2012年に見つかった食道がんは、放射線治療で消せたが、食道横にあるリンパ節に再発し、4時間に及ぶ大手術を受けていた。今後は休養をしながら闘病生活をしていくといい、文化放送「なかにし礼『明日への風』」(金曜午後7時半)で状況を報告した。

 「実は以前から恐れていたがんが再発しまして。詳しいことはともかくとして、今回手術をいたしました。少々休養させていただきながら、番組に1日も早く復帰したいと思っております」。番組(収録)の本編終了後、なかにし氏はボイスメッセージでがん再発と、闘病のために番組を一時休むことを報告した。同局によると、復帰まで他の出演者で番組を続ける。

 事務所関係者などによると、12年2月に見つかった食道がんは、放射線治療の一種、陽子線治療を4カ月で30回受けたところ、がんが消え、同年10月に仕事復帰した。その後も3カ月に1度の定期検査を欠かさず、今年1月には作詞家・作家生活50周年記念のアルバム「なかにし礼と12人の女優たち」を発売。精力的に活動を続けてきた。

 検査で異常が分かったのが1月下旬だった。2月上旬に精密検査を受け、食道の横にあるリンパ節にがんが再発していることが判明した。同24日に入院して翌25日に手術。当初は体に負担の少ない胸腔(きょうくう)鏡手術の予定だったが、がんのある場所への考慮などから、背中を約25センチ切る手術に変更した。

 この日、なかにし氏は日刊スポーツに手術の状況を説明した。「(92年に)心筋梗塞をしていて、半分ぐらい心臓が壊死(えし)している。心臓が長時間の全身麻酔手術に耐えられるか。やれるところまではやったけど、取り切れなかった」。今後については「主治医と対応を考えながらやっていく」とした。

 創作意欲や食欲などは、再発判明の前と変わらないといい、ボイスメッセージでは「どうぞ私の健闘を見守ってください。皆さまと、またちゃんとした形でお仕事がご一緒できることを楽しみにしております」と結んでいる。

 ◆なかにし礼(れい)本名・中西礼三。1938年(昭13)9月2日、旧満州(現中国・黒竜江省牡丹江市)生まれ。立大文学部仏文学科卒。作詞家として「天使の誘惑」「今日でお別れ」「北酒場」で日本レコード大賞を3度受賞。作家としても00年「長崎ぶらぶら節」で直木賞。NHK連続テレビ小説の原作「てるてる坊主の照子さん」、満州からの引き揚げ体験を描いた「赤い月」などがある。