長渕剛(58)が、8月22日夜から静岡県富士宮市の富士山麓で開催する「10万人オールナイト・ライヴ2015 in 富士山麓」。この一大イベントに向け、さまざまな角度、証言から連載する。

 18日、会場のふもとっぱらに強い雨が降った。7月下旬から設営を始め、このほど完成した巨大なステージもぬれていた。9時間のライブ、前後の入退場を含めると15時間以上は現地に滞在する野外ライブに雨を避ける屋根やテントはない。気になるのは当日の天気だが、18日現在の22、23日の富士宮地方の天気予報は晴れのち曇り。山の天気は変わりやすく油断できないが、開催を危ぶむほどの雨が降ることはなさそうだ。

 長渕は「八月の雨の日」「君は雨の日に」「時代は僕らに雨を降らしてる」など雨にまつわる曲やアルバムタイトルがいくつかある。83年の西武球場ライブは雨に見舞われ、伝説として語られている。ただし長渕を長く支えた元スタッフによると「最近の野外ライブが雨の中で行われた記憶がないんですよ」という。11年前の鹿児島・桜島オールナイトライブも、現地は午後2時ごろから強い雷雨に見舞われ、全国から集まり始めた観客を慌てさせた。ところが、炎天下の会場を一瞬にして冷ましたかと思うと、すぐにやみ、その後は降水確率0%までに回復。翌朝には雄大な桜島上空に朝日が昇っていくなど、「晴れ男」ぶりを発揮している。

 しかし、主催社はファンに「持参していただきたいもの」と呼びかけるものの1つに雨具を挙げている。「キャンプや登山で使うしっかりしたもの」という注釈付きだ。雨というより、寒さ対策の必需品だ。

 連日気温35度に迫る静岡県内だが、会場は海抜830メートル。ふもとっぱらのスタッフは「日中は平均して28度ぐらいですが、夜は15度ぐらい。それを下回ることもあります。シャツ1枚では寒いです」という。ライブは長丁場で、激しい寒暖差が体調不良を招きかねない。仮に雨まで降ると、低体温症を発症する可能性が高まる。

 他にも帽子や長袖シャツに虫よけ、虫刺され薬とキャンプや登山の必需品が挙げられている。これらはさらに詳しく、ファンクラブ会報やライブの公式HPに掲載されている。これほど周到な準備を呼びかける音楽イベントは他にない。【特別取材班】

 ◆人口13万人の富士宮市に10万人が集まるが、最寄り駅からの徒歩移動は難しく、会場へ向かう幹線道路は市内を南北に走る国道139号1本しかない。富士宮市役所未来企画課の芦沢昌洋氏(42)は「22日午前10時~午後6時ごろに混雑し、ピークは午後2時ごろになるのでは」と話す。通行車両を減らすため、自家用車やタクシーの会場乗り入れを禁じ、最終アクセスを全てバスとした。近隣駅や高速道インターチェンジ付近の駐車場をはじめ、青森から鹿児島まで全国54カ所と直行便で結ぶバスツアーが組まれている。