作曲家の新垣隆氏(44)とチェロ演奏家・海野幹雄氏(39)が25日、都内のスタジオで行われた映画「シロナガスクジラに捧げるバレエ」(坂口香津美監督、9月19日公開)完成発表会見で、ユニットの結成を発表した。

 2人は桐朋学園大の先輩、後輩の間柄で、新垣氏が海野氏のリサイタルのピアニストをしたり、また海野氏が新垣氏の新作楽曲の演奏をしたりという間柄。来年1月にリサイタルが決まっているが、ユニット名など詳細は未定で、海野氏は「CDデビューなども、お話をいただけるならうれしいですが、ユニットを組んで、それで生きていこうというわけではない。2人の演奏の機会が増えればいい」と話した。

 2人は「シロナガスクジラ-」の音楽を共同制作した。13年9月に対面した坂口監督から「お金はないが音楽をつけてくれないですか?」とオファーを受けた。監督の熱意と企画を考慮し、オファーを受けた。

 ところが、昨年2月6日発売の「週刊文春」に、新垣氏が佐村河内守氏(51)のゴーストライターであると報じられ、それを受けて新垣氏が同日に会見を行い、一連の騒動に発展。その混乱の中、昨年3月、映画の完成発表会見が行われたのと同じスタジオで音楽の録音を行った。録音は新垣氏と海野氏の、2人だけで行われたという。

 新垣氏は「映画の音楽を録音した時、例の騒動(の渦中)だった。この先の展望が全くなくなってしまった。そういう中にあり、録音の機会がいただけたのは救われる思いだった。海野さんという大事な仲間とできる、大事な機会だと思っていた」と振り返った。そしてユニット結成についても「海野さんと一緒にできることは音楽家冥利(みょうり)に尽きる。彼と、ずっと長く続けてやっていきたい。貴重でありがたいこと」と歓迎した。

 海野氏は、ゴーストライター騒動で図らずもゴシップ的に見られる芸能人の領域に進んだ新垣氏を「もう1度、音楽家としての道に戻る助けになりたい」という思いも、今回のユニット結成の目的だと明かした。その上で、騒動前後で新垣氏が変わった点について「鼻毛が出ていない。見た目が小ぎれいになった。着ていた服も、もっとヨレヨレだった。頭(髪形)は変わっていない」と指摘。新垣氏は苦笑していた。