10年バンクーバー五輪銅メダリストでプロフィギュアスケーターの高橋大輔氏(29)が舞台デビューすることが17日、分かった。ダンスショー「LOVE ON THE FLOOR」(6月30日開幕、東京・渋谷の東急シアターオーブ)にゲストダンサーとして出演する。スケートリンクから劇場にステージを変え、新たなジャンルに挑戦する。

 「LOVE ON THE FLOOR」は愛がテーマ。6つのパートで構成される。米女性プロダンサーのシェリル・バーク(31)が演出、主演を務める舞台で今回が初演となる。

 高橋氏は14年秋に現役を引退。約9カ月間の米国留学を終えて昨年11月に帰国した。本業のスケート以外で初めて本格的な仕事を引き受けたのは、自分の可能性を見つけるためでもある。このほど取材に応じた高橋は「やりたいこと、目標が見つかってなかったのもありました。いろいろやって成功するも失敗するも、何か次に見えてくるものなのかなと思ったので。自分にかけてみようかと」と話した。

 「ゲストダンサー」の肩書だが、全13公演に出演、ほとんどのパートで登場する予定だ。女性ダンサーと踊るなど、慣れないシーンもあるが、「刃がないブーツでダンスをしたこともないし、カップルで組んで踊ったこともない。そういったところも練習ですね」と前向きだ。

 実は厳しい選手生活の合間に、ドラマや映画を楽しむことがあった。好きな芸能人は「個性的な樹木希林さん」という。「役柄もあるんでしょうけど、出てくるだけで泣いちゃう。山田孝之さんも大好きです」。

 中でも舞台鑑賞を好む。「バレエ、ミュージカル、劇も好き。みんなが静かに何か違う世界を見ているのが好きなので」。好きな作品を聞くと「オペラ座の怪人」「レント」「ロミオとジュリエット」を挙げた。舞台を中心に活躍する俳優の山崎育三郎、浦井健治とも交流を持つ。

 今回はダンスに特化したものだが、俳優業への興味を聞くと「役者さんは考えたことはないです。今後もやらないんじゃないですか。ダンスの方が好きかなと」。本作の出演は今後の活動スタンスの試金石にもなる。「スケートを軸としながらも、ダンスの世界でも生きていきたいと思えるようになれればいいですね。今回ダメだと思ったら、もうやらないと思います」。【近藤由美子】

 ◆高橋大輔(たかはし・だいすけ)1986年(昭61)3月16日、岡山県生まれ。4人兄弟の末っ子。8歳でスケートを始める。06年トリノ五輪8位。10年バンクーバー五輪銅メダルを獲得。14年ソチ五輪6位。関大卒。165センチ。