歌舞伎俳優尾上松也(31)の妹の春本由香(23)が、9月の東京・新橋演舞場「新派特別公演」で新派に入団し、夜の部「婦系図」の妙子役で女優デビューすることが28日、分かった。

 女優はあこがれだった。「歌舞伎の舞台に立つ兄がうらやましく、嫉妬しました」。6代目尾上松助さん(享年59)元新派女優の盛恵さん(59)の長女に生まれたが、歌舞伎の舞台に女子は立てない。堀越高校芸能コースに進み、ミュージカルなどのオーディションを受けた。今年1月、母盛恵さんの勧めもあって、水谷八重子(76)の部屋子として新派入りを決めた。「普通の舞台と違って、日本的なお芝居なので、私に合っていると思う」。八重子も「新派の血筋を持って生まれた人が、新派で初舞台を踏んでくれる、こんなうれしいことはありません」と歓迎する。

 祖父春本泰男さんは映画から新派で活躍し、祖母清元延はる寿さんは新橋の名妓で、清元の名手だった。演舞場に祖父や祖母、母や兄も出演し、父の最後の舞台も演舞場だった。「ゆかりある演舞場でデビューできてうれしいし、感動的な初舞台になります」。

 「婦系図」で主税(喜多村緑郎)の恩師の娘の妙子を演じる。「しとやかで、かわいらしい女性。和のきれいな女性を演じるのが目標なので、頑張ります」。お蔦役の波乃久里子の楽屋を訪れた時に指導も受けた。すりの万吉役で共演する松也は「やりたいことがあってもうまくいかなかったので、ようやく自分の道が見つかってうれしい。常に向上心ある役者になってほしい」とエールを送る。春本は「兄は尊敬できる1番の目標。いつも一緒にいた人なので、安心できるけど、緊張します」と話した。【林尚之】

 ◆春本由香(はるもと・ゆか)1992年(平4)12月21日、東京生まれ。本名「真由香」は、7歳だった兄松也が命名。堀越高校卒業。特技は中1から始めた日本舞踊で、05年に藤間流「胡蝶」で国立劇場の舞台に立った。好きな男性のタイプは優しく、しっかりした人。趣味は絵を描くこと。165センチ。