SMAPは1月18日、メンバー5人がそろう唯一のレギュラー番組、フジテレビ系「SMAP×SMAP」の緊急生放送で解散騒動を謝罪した。事態は収束するかに思えたが、月数回行われたその後の同番組の収録の現場には、険悪な雰囲気が漂っていた。

 SMAPのプロデュースを手掛けてきた女性マネジメント室長I氏の独立に伴い、グループを存続させるために、ジャニーズ事務所退社まで決意した中居正広(43)稲垣吾郎(42)草なぎ剛(42)香取慎吾(39)の4人と、グループの分裂覚悟で事務所残留を決めた木村拓哉(43)。4人は最終的に事務所に残ってグループを存続させる道を選んだが、木村に対する複雑な思いは根強く残った。

 騒動を生放送で謝罪した直後、本来は温厚で、まとめ役の中居が声を荒らげた。稲垣、草なぎ、香取の3人に向かって「(木村と)口をきくんじゃねーぞ!」と言い放った。謝罪のタイミングや方法に不満を感じ、感情的になってしまった。自分なりにグループをまとめようとしても、思うようにいかない焦りもあったのか、ある収録日では、木村を裏切り者と表現するような発言をしてしまい、スタッフが編集で慌ててカットしたこともあった。

 木村は緊急生放送で「これから自分たちは何があっても前を見て、ただ前を見て進みたいと思います」と話したように、ファンに謝罪できたことで騒動はいったん収束するとみていた。そこに他の4人との温度差が生まれた。努めて明るく振る舞う木村と、納得がいかない様子の4人。溝は深まる一方だった。

 SMAPのメンバーであるからこそ、仕事にも恵まれたと感謝している香取や草なぎは、とりわけグループ愛が強かった。2人は、中居と木村の確執を軸に目に見える形でバラバラになっていく状況は耐えられなかった。収録は月数回程度にもかかわらず、香取は周囲に「(メンバー)みんなと顔を合わせたくない」と漏らすほどだった。

 トークコーナーの収録で木村が何か話題を持ち出しても他メンバーが黙り込むなど内容が成立しないことも増えた。SMAPは、中居を中心にした軽妙な掛け合いが魅力の1つだけに「トークもつながらない。こんな状態では番組が続けられない」と漏らすスタッフもいた。

 微妙な空気はゲストにも伝わった。「バラエティーなのに、緊張感があり過ぎる。本当は出たいけど、今は出たくない」とスタッフに伝えるタレントもいた。悪化した空気を知られることを避けるためなのか、公開収録の人気コーナー「ビストロSMAP」もファンが観覧することができなくなった。

 国民的グループは、関係修復が難しい状況を好転させることができず、「解散」という道しか選択できない状況に、静かに追い込まれていった。

※なぎは弓ヘンに前の旧字の下に刀