石原プロ所属の池田努(38)がミュージカル「花・虞美人」(31日まで東京・赤坂ACTシアター)で時代物の舞台に初挑戦し、20歳から続ける古武道を生かした殺陣や本格的な歌唱を披露している。項羽と劉邦2人に愛された虞姫(ぐき)を描く物語の項羽役。「今まで演じた中で一番演じがいがある」と話す。

 違法カジノ店への出入りが発覚した清水良太郎(28)の降板に伴って、2月中旬に代役に抜てきされた。出演中の舞台と今回の稽古が同時進行したが、焦りはなかった。やりを使う殺陣は棒術が基礎になった。武人である項羽の存在感は、武術経験のある池田の居ずまいが反映されている。音楽劇出演を機に数カ月前からボイストレーニングを始めていたタイミングの良さも重なった。

 豪快で好戦的という項羽のイメージにとらわれず、弱さや純粋で不器用な愛を表現した脚本を読み込み、役作りした。「俳優冥利(みょうり)に尽きます。誰でも演じてみたいと思う役」という。降板した清水も思いやる。「悔しかったと思う。気持ちはカンパニー皆が分かっている。今回は巡り合わせで僕にやらせてもらえることになった。1つの役を演じるということの重みを感じています」。今後もミュージカルに積極的に挑むつもりで「大竹しのぶさんのように役者ならではの歌を聞かせたい」。

 凰稀かなめ、超新星ユナクらが出演。項羽は黒川拓哉とのダブルキャスト。【小林千穂】

 ◆池田努(いけだ・つとむ)1978年(昭53)12月17日、横浜市生まれ。00年オーディション「21世紀の石原裕次郎を探せ!」で芸能界入り。07年から1年間、ニューヨークの俳優養成所アクターズスタジオで演技を学ぶ。舞台は「スーベニア SOUVENIR~騒音の歌姫~」「BIOHAZARD THE Experience」など。180センチ。血液型O。