盲目のピアニスト辻井伸行氏(22)が、映画「神様のカルテ」(深川栄洋監督、8月27日公開)のテーマ曲を手掛けたことが14日、分かった。同作は同名のベストセラー小説が原作で、主演は嵐の櫻井翔(29)、ヒロイン役が宮崎あおい(25)。辻井氏が映画のテーマ曲を手掛けるのは初めて。

 昨夏、山内章弘プロデューサーから「定番化したタイアップではなく、今までの映画では実現したことのない斬新な挑戦がしたい。本作の命の意義と生の輝きというテーマで辻井さんに行き着いた」と、作曲依頼を受けた辻井氏は、ただちに原作と脚本を点字図書で熟読した。

 そこからは独特の作曲方法だった。辻井氏は「登場人物の優しさや、人と人とのつながりの大切さに深い感銘を受けて、作曲を引き受けることにしました」と話す。いつも、自らが感じた風や自然の音などをヒントに作曲しているため、今回も昨年秋に長野・松本市のロケ現場を訪問。深川監督、櫻井と対面し、現場の雰囲気を感じ取った。すると「つかんだイメージを忘れないうちに」と、すぐに松本市内のコンサートホールで、即興のレコーディングを行った。

 テーマ曲は昨年末に完成させて、映画も試写すると「感動して、自分自身も涙が止まりませんでした。このような素晴らしい映画に作曲家として携わることができて、うれしい」と、成功を確信した。櫻井も「自分の思い描いていた主人公の栗原一止先生にぴったり表現されていて、すごいなぁと思いました」と感激している。

 テーマ曲は、映画公開前の7月27日に新アルバム「神様のカルテ~辻井伸行自作集」としてリリースされる予定。