市川染五郎(41)が11月の東京・歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎
初代松本白鸚三十三回忌追善」で「勧進帳」の武蔵坊弁慶を初役で演じることが7日、分かった。曽祖父の7代目松本幸四郎、祖父の初代松本白鸚、父の9代目松本幸四郎(71)と続く、高麗屋(幸四郎家の屋号)の家の芸と言える演目で、満を持しての初挑戦となる。
尊敬する祖父初代白鸚の追善興行で、曽祖父7代目幸四郎から4代続く、新しい弁慶が誕生する。
7代目幸四郎は1600回以上も弁慶を演じて「勧進帳」を人気演目にした。初代白鸚も当たり役として約500回演じた。当代の幸四郎も16歳の初挑戦から1100回演じ、47都道府県で「勧進帳」上演の記録を打ち立てた。高麗屋3代で3000回以上の「勧進帳」DNAを受け継ぐ染五郎は、小さいころから弁慶の引っ込みをまねて六方を踏んで遊んだ。太刀持ちに始まり、対立する富樫、主君の義経を演じ、いつ弁慶を演じるかが注目された。
染五郎が弁慶を演じるとのうわさが最近出た時、自身のブログで「このようなことを言われるようになったこと、それを肯定的に思っていただける方が多いということ。もちろんニンが違うと言われ続けていることは分かっています。けれどもこれをやれるようにならなければ、市川染五郎である意味はありません。そう僕は思っています。憧れ続けている役です」と、熱い思いを書き込んだ。
ニンとは役柄と演じる者の関係、相性で、細身の染五郎はニンが違うと言われることもあった。それでも、花形世代の代表格である染五郎は親戚で年下の尾上松緑(39)市川海老蔵(36)が一足先に弁慶を演じる中、「伊達の十役」など多様な演目に次々と挑戦し、準備を怠らなかった。昨年4月、歌舞伎座新開場を前に「『勧進帳』の弁慶を見て歌舞伎役者に憧れた。歌舞伎座で弁慶をやりたい」と話した。それから約1年半、長かった夢がようやく実現する。【林尚之】




