初出場の樋口黎(20=日体大)が銀メダルを獲得した。

 2015年世界選手権王者のウラジーミル・キンチェガシビリ(25=ジョージア)との決勝は、第1ピリオドを1-0でリード。第2ピリオドも片足タックルからのポイントで3-0とリードを広げたが、相手も反撃し残り41秒で3-3と追いつかれた。そのまま終了時間を迎え、日本側が相手が指を握っていたとしてチャレンジしたが、認められず敗戦となった。

 樋口は敗れた悔しさからか試合直後の取材には応えなかった。表彰式で銀メダルをかけられても笑顔は見せず、ずっとこわばった表情で写真撮影に応じた。

 表彰式後にインタビューに応じ「決勝も内容は五分五分で勝てる試合だった。金メダルを取れなかったことが一番悔しい。ずっと1番でなければ意味がないと思ってやってきたので2番は悔しいが、指導してくれた先生方だったり応援があってのメダル。素直に感謝して次のステップに頑張りたい。世界でも通用するレベルと分かったので、これを自信にして、銀メダルを見て悔しさを思い出して、東京では一番いい色を取れるように頑張りたいです」と話した。

 樋口は1回戦で14年世界選手権王者でロンドン五輪銅メダリストのヤン・ギョンイル(北朝鮮)をテクニカルフォールで破ると、2回戦もラチナウ(ベラルーシ)にテクニカルフォール勝ち。3回戦はボネロドリゲス(キューバ)に8-4の判定勝利。準決勝はラヒミ(イラン)に10-5の判定勝ちで決勝進出した。

 五輪出場決定までは苦難の道だった。2014年全日本選手権ではシングレットをつかんで失格。昨年は6月の全日本選抜でお菓子好きの偏食から減量できずに失格。10月には右手甲を骨折した。しかし年末の全日本選手権は右手握力が半分以下になりながら初優勝すると、今年3月の五輪アジア予選で優勝。6月には国際大会連勝などで急上昇してきた。今回ついに五輪のメダルという形で自らの力を証明した。

 ◆樋口黎(ひぐち・れい)1996年1月28日、大阪府出身。茨城・霞ケ浦高から日体大。昨年の全日本選抜は計量失格したが、国体、全日本選手権で初優勝して五輪出場権へつなげた。今年は3月アジア予選、6月マケドニア・パール国際、6月ジオルコウスキ国際に優勝。163センチ。