J2岐阜を応援する南米の女性を見て、日本の堅苦しさをふと思った。

 対東京V戦(7月8日、長良川)は試合開始から両チーム、体を激しくぶつけ合った。前半だけで両軍合わせて4枚のイエローカードが出る、荒れた試合となった。

 その女性は岐阜の選手がカードをもらうと不満そうな表情を見せ、ブラジル人選手が倒されると、周りのサポーターが振り向くくらい、すごいけんまくでピッチを指さし叫びまくる。

 後半の先制ゴールを許すシーンでは、もう座っていられない。左足を自分の座っていた椅子の上、前の座席の背もたれに右足を置いて、両腕を組んで仁王立ち。喜ぶ東京Vイレブンをにらみつけていた。

 メーンスタンドで観戦している日本人にはなかなかいないタイプ。そこで思ったのが、自由でいいなぁーということ。

 思ったことを言い、思った表情が出る。ストレートに感情を爆発させる。そこには我慢するとか、周りがどう思うかなんて関係ないように見える。人間らしい姿がそこにあった。

 日本を訪れる外国人観光客は「日本は飛行機も新幹線も時間通りに来る。町にはゴミひとつないから最高だ」という意見をよく聞くが、逆に「日本人と約束をするときは時間に遅れることができないので息がつまる」という人もいる。

 時間にはルーズだと言われる国もあるし、厳格な国民性と言われるドイツでも15分の遅刻は許される。相手の遅刻も許すが、自分の遅刻も許してもらうんだとか。

 なんでもキッチリの日本。電車で1分でも遅れると申し訳ありませんのアナウンス。自分で判断できるだろ、ということも細かく法律で決められ、街中には監視カメラが張り巡らされて、いつも誰かに見られている感じがする。

 何か最近、自由に生きている感じがしないんですよね。キッチリとルーズ。どっちが人にとって幸せなんでしょうか? 岐阜のスタジアムに響く絶叫を聞きながら、そんな事を思った夜だった。

 ◆上田博志(うえだ・ひろし)1970年(昭45)6月22日、大阪府生まれ。日刊スポーツでは制作部から写真部を経て去年から名古屋へ転勤し報道部へ配属。カメラマンも兼務しながらサッカー記者も務める。趣味はゴルフ。