女子日本代表なでしこジャパン(FIFAランク4位)が意地の1勝を挙げた。中国(同14位)を下して今大会初勝利。後半43分、途中出場のFW横山久美(21=長野)が先制し、同ロスタイムにMF杉田亜未(23=伊賀)の今大会2点目で突き放した。引き分け以下なら初めて最下位に終わっていたチームを「チャレンジなでしこ」の有望株が救い、来年2月開幕のリオデジャネイロ五輪アジア最終予選へ「数人」(佐々木監督)が生き残った。
大会初の未勝利危機に陥っていたチャレンジなでしこが最後に意地を見せた。「加油(頑張れ)」コールが響き渡る、完全アウェーの地元中国戦。0-0で終わるかと思われた後半43分にようやく均衡を破った。5分前に途中出場したFW横山がMF中島のスルーパスに反応。最終ラインを絶妙のタイミングで抜けると、右足でコースを狙って蹴り込んだ。「結果を残せるか残せないかで、上に行けるか行けないか決まる」。野心をシュートに込めた。
「カナダ組(W杯準優勝メンバー)は、どんな目で君らを見ているか。事実上のラストチャンスだぞ」。そう指揮官に突き放された若手が奮起した。勝てなければ初の最下位という呪縛から土壇場で解き放たれると、後半ロスタイム3分にMF杉田がダメを押す。FW菅沢のパスを受けて右足を振ると、23メートル先のゴール右に飛び込んだ。初戦の北朝鮮戦に続く今大会2点目。U-23(23歳以下)代表では主将を務める次世代のリーダーも結果を残した。
しぼんでいた期待が再び膨らんだ。開幕前、佐々木則夫監督(57)は「3分の1はリオ(五輪)に絡んできてほしい」と注文。今大会でフィールドプレーヤー全員を起用したが、開幕2連敗でV逸と早々に裏切られた。「合格は数人かな。(来年2月開幕の)リオ五輪アジア最終予選までに数人、本大会にも入ってきてくれればいいけど…」。発掘目標を下方修正して迎えた最終戦で2人の有望株が見返した。
通算1勝2敗。W杯カナダ大会のメンバー23人中6人しか残っていない陣容とはいえ、世界準優勝国としては物足りない成績。しかし、平均年齢で4歳も若返った選手たちは伸びた。横山、杉田のほかに「数人」に入ったのは京川。本職の攻撃的MFと違う右サイドバックで全3試合にフル出場し、最も評価された。
今後の競争を活性化する選手の台頭に、佐々木監督は「優勝することはできなかったけど、1戦目より2戦目、2戦目より3戦目と着実に成長してきた。どうか許してやってください」と、今大会ようやく笑顔を見せた。この経験を生かしてリオ五輪の予選と本大会に食い込んでいく。チャレンジなでしこがスタートラインに立った。【木下淳】

