サッカー男子のU-23(23歳以下)日本代表が8月のリオデジャネイロ五輪で行使する、24歳以上のオーバーエージ(OA)枠の3人がFW興梠慎三(29=浦和)DF藤春広輝(27=G大阪)DF塩谷司(27=広島)に絞られたことが10日、分かった。同日夕、手倉森誠監督(48)ら同代表のスタッフ会議が東京・本郷のJFAハウスで行われ、最大3枠をフル活用する方針を確認。今月下旬までに3人と最終交渉する。五輪代表は7月上旬に発表される予定。

 リオ五輪のOA選手が、浦和FW興梠、G大阪の左サイドバック(SB)藤春、広島センターバック(CB)塩谷に絞り込まれた。約2時間半に及んだスタッフ会議で、前日9日にブラジルから帰国した手倉森監督と、交渉責任者の日本協会・霜田技術委員が中心となって議論。3人を軸とする案が現場サイドで固まり、本人、クラブとの最終交渉に入ることになった。

 12人の大枠リストから人選が始まったOA交渉。8月4日の1次リーグ初戦ナイジェリア戦まで2カ月を切り、道筋が立った。手倉森監督は5月11日のガーナ戦後、OA起用位置について「FW、攻撃的MF、サイドバック」と初めて言及。「前線に収まりがほしい」と、ポストプレーに優れたFWを求めた。J1で4年連続2ケタ得点中で、ACL日本人最多得点記録(通算14点)を誇る興梠のスタイルと合致する。

 上限3人中2人を守備に割いたのは負傷禍対策だ。U-23世代の主力CB奈良、岩波が大けがを負い、SBも一時、最終予選メンバー4人(松原、室屋、山中、亀川)が全滅。その状況で臨んだ先月のトゥーロン国際は4戦5失点で1次リーグ敗退。穴を埋める存在として50メートル走5秒8の藤春、CBと右SBをこなせる塩谷に白羽の矢が立った。

 OA候補は今年1月にハノーバーMF清武、ケルンFW大迫のリストアップが判明。5月には川崎FのFW大久保と興梠、塩谷と藤春の候補入りが明らかになった。この6人が最終候補。大久保は当初からクラブ側が難色を示し、清武もセビリアへの移籍が決まったため招集が困難になり国内組の3人に絞り込まれた。

 取材対応しなかった手倉森監督に代わって霜田氏は、この日が期限だった日本オリンピック委員会へのOA派遣手続きを「今月中をメドに延期した」と話した。負傷などの不測の事態に備え、FIFAに今後提出する35人の予備登録リストには大久保、清武の名前も残したとみられる。

 ◆興梠慎三(こうろき・しんぞう)1986年(昭61)7月31日、宮崎県生まれ。鵬翔高から05年に鹿島入り。13年に浦和移籍。08年10月のUAE戦で国際Aマッチ初出場。15年にはハリルホジッチ監督に評価され11年以来、4年ぶりの代表復帰を果たした。国際Aマッチ通算16試合無得点。175センチ、72キロ。

 ◆藤春広輝(ふじはる・ひろき)1988年(昭63)11月28日、大阪府生まれ。東海大仰星高から大体大に進む。11年にG大阪入り。快足を武器にレギュラーをつかみ、ハリルホジッチ監督の就任初戦となった15年3月のチュニジア戦で国際Aマッチデビューを飾る。同通算3試合無得点。175センチ、60キロ。

 ◆塩谷司(しおたに・つかさ)1988年(昭63)12月5日、徳島県生まれ。徳島商-国士舘大。11年にJ2水戸入り。12年8月にJ1広島へ完全移籍し、13年はリーグ全34試合に先発出場し連覇に大きく貢献した。14年10月のジャマイカ戦で国際Aマッチデビュー。同通算2試合無得点。182センチ、80キロ。