自称ベテランが代表改革をぶち上げた。サッカー日本代表が6日、国際親善試合オマーン戦(11日、カシマ)とW杯アジア最終予選サウジアラビア戦(15日、埼玉)に向けて茨城県内で合宿をスタート。強気な発言とプレーで「本田2世」と期待されるMF小林祐希(24=ヘーレンフェイン)は「24歳ベテラン説」を唱え、若手の突き上げを要求した。「海外組」として初の代表で、自身はMF香川や清武との定位置争いに意欲を見せた。

 6月に代表デビューし、8月に磐田からオランダへ渡った小林は、初めて「海外組」として招集された。午前中に帰国。機内では睡眠優先で食事を省いて時差調整した。合宿初日から精力的に汗を流すと、この4カ月で深めた価値観を次々と口にした。「世界では24歳はベテランの年齢」。欧州での自らの立場をそう表現し、若手の奮起を促した。今回の代表ではFW本田ら30代が7人おり、小林の下には、20歳のMF井手口、21歳のFW浅野、22歳DF植田、FW久保がいるだけ。明らかに「若手」に見えるが、日本の将来を見据えた持論を展開した。

 小林 井手口君も世界で見たら(年齢的には)普通。彼らが「おれがスタメン」とチームメートや世界に対して強い気持ちを持ってやれば日本はもっと強くなる。自分もそういう気持ちで常にやってきた。

 代表では同じポジションにMF香川、清武が控える。もちろん、代表に呼ばれたからには「いい勉強」で終わらすつもりはない。2人との定位置争いを「笑いが出ちゃうぐらい楽しみなミッション」と大歓迎し、「すごい高い壁ですけど、そんなこといってたらおれの成長が止まる。追いつき追い越せで、突き放していかないと」と目を輝かせた。

 歯に衣(きぬ)着せず自分の考えを表現し「本田2世」と呼ばれる。10年のW杯南アフリカ大会では、ロシア1部CSKAモスクワで頭角を現した当時24歳の本田がチームをけん引する存在になった。小林も現在ヘーレンフェインでリーグ8試合連続先発出場と、本田と歩みが重なる。「24歳のベテラン」は「代表の一員として呼ばれて、勝つための1つのコマでしかない。香川さんも本田さんも1つのコマ。もらってる給料が違うとかあるけど、遠慮することはないし、いつも通りやりたい。2試合で点は取りたい」と目標を掲げた。【岩田千代巳】

 ◆本田の24歳の時のコメント W杯南アフリカ大会で日本を決勝トーナメントに導く活躍で、世界にその名をアピールした直後の7月、当時所属していたCSKAモスクワの練習後に日刊スポーツの取材にこう答えている。「オレは焦っている。もう24歳。若い若いなんて思っていたら、もう引退間近ってことになる。周りには、オレのことをいい感じで成長していっていると思っている人もいるかもしれない。ただ、ここからが本当のスタート。現状は、オレの描く本田圭佑ストーリーに全然追い付いてきていない。成り上がれる時に、成り上がらないと。世界の強豪からみたら、オレなんかまだまだひよっこ。上には上がいるんだとチャンピオンズリーグでもW杯でも感じた」。